エムスリー Advent Calendar 2019 6日目の記事です。エムスリーエンジニアリンググループ QAチームの城本(@yuki_shiro_823)です。QAチームでよく勉強会を主催したり、直近では、下記の記事で紹介されている新しいアンケートシステムのQAを担当しました。 www.m3tech.blog QAチームでアクティブ・ブック・ダイアログを実施して効率的に学習ができたので、その様子を紹介します。
アクティブ・ブック・ダイアログとは?
事前準備のいらない輪読会というのが自分のイメージです。1冊の本をみんなで分割して読み、各人が読んだ内容を要約して発表することで、短時間で1冊の本の内容をみんなで理解することができます。
具体的には、次のような手順で進めます。
- 章や節で担当範囲を決める
- 各自担当範囲を読んで、プレゼンできるよう紙にまとめる
- 一人3分程度で読んだ内容をプレゼン
- プレゼンに対して質問や感想を言い合う
詳しいやり方は、下記の公式サイトをご覧ください。 www.abd-abd.com
書籍の選定
エムスリーのQAチームでは、「低コストで高品質の製品を創り、高速リリースが可能な開発チームを創る人」をテーマに掲げています。
その中のサブテーマに次のような内容があります。
- 盲目的にバグの削減を目指すのではなく、顧客利益の最大化を目指す
- 開発プロセスに上流から関わり、顧客が真に必要とする製品を提供する
顧客の利益となることを保証するためには、QAの知識だけでなく、医療業界のドメイン知識が必要です。そのため、今回は「患者目線の医療改革」という本を選びました。
実際にやってみた様子
勉強会の枠はいつも1時間でやっているので、時間枠に合わせてちょっと短縮版で実施してみました。本の裁断と今回読む範囲はあらかじめ決めておいたので、担当者を決めるところから行いました。範囲の都合上ちょっとページ数が多くなるところは、経験が長いメンバーが立候補してくれて、担当範囲が決まりました。
そこからは30分程度で、もくもく読んでもくもくまとめる時間です。頭を使うので、ちょっとしたお菓子も用意しておくとよいです。
まとめが終わったら、プレゼンの時間です! 一人の持ち時間3分で、まとめた内容を発表してもらいました。
それぞれ、図を使ったり、グラフにしたりとまとめ方に個性が出ていて面白かったです!
得られた気づき
「患者目線の医療改革」から得られた気づき
医療制度について、漠然とした理解だったところに体系だった知識が得られました。
- 過去の病気や、それが治ったかなど立場によって医療に対する意見が異なる
- 客観的に見るには、「医療費の調達」「供給体制」「計算方法」の3点に分けると分かりやすい
- 医療費のinは主に社会保険料で全体としては減る傾向、outは高齢人口の拡大、医療の高度化で増える傾向
- 診療報酬制度の「出来高払い」「包括払い」「人頭制」の内容とメリット・デメリット
- 日本の医療の特徴は以下の3点
- 医療制度で「高クオリティ/低コスト/フリーアクセス」の3つのうち何を優先するか決まっていない
- 経済成長前提
- フリーアクセス
- フリーアクセスとは「患者の意思で自由に病院を選べること」を指しています。日本以外の先進国では、最初に決められたかかりつけ医を受診しないと専門医を受診できない制度のことが多いです。
エムスリーの事業の目的の中には「不必要な医療コストを一円でも減らすこと」という一節が含まれていますが、本を読んでみて「日本の経済状況上、医療コストを減らすことは不可欠だね」という感想がメンバーから出てきました。
私のまとめたところで「フリーアクセスを優先すると残りの2つをどう阻害するのか?」という質問が他のメンバから出てきました。
「誰もが大学病院に行ってしまうと、本当に治療が必要な人に届かなくて、高クオリティを阻害する」
と私は漠然と理解していたのですが、さらに別のメンバーから
「病院を次々ホッピングしてしまうと、今までの病歴が分からず色々試すところから始まったりして、コストがかかることもある」
と補足してもらいました。自分にはない気付きだったり、他のメンバーから理解が深まるヒントをもらえて、お互いに理解が深まりました!
アクティブブックダイアログについての気づき
参加したメンバーからは、次のような声がありました。
- 後程まとめてプレゼンするため、理解しようと深く読み込む
- アウトプットを同時に行うため、インプットだけより記憶に残りやすい
- 自分の担当範囲を読んで不明瞭だったことが、他のメンバーのプレゼンで補完され、聞くときにも集中できる
- 他のメンバーからの質問で理解が促進される
- 本になかった内容も、参加メンバーが持っている知識を共有してくれ、さらに理解が深まる
一つの本をみんなで深く読み込める点や、アウトプットに対してすぐに質問や感想などのフィードバックがもらえる点が好評でした!参加者で共通認識が取れるので、ドメイン知識を得たいときやチーム全体で何かの手法を取り入れるときの最初の勉強法などに向いていそうです。「みんなで一冊の本を読み切るぞ!」という一体感ができるのもよかったです!
開催時間が1時間ということもあり、1冊読み切れなかったので、この後も勉強会は続く予定です。1回目のアウトプットはPDFにまとめて、今回参加していないメンバも閲覧できる場所に置いてあるので、途中の会から参加できるようにしています!
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