エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

『エムスリーデジカルスマート診療』開発現場を観察してきた

はじめまして、プロダクトマネージャーの坂(ばん)です。2021年2月にエムスリー入社し、4ヶ月が経ちました。入社後、最初のミッションは、4つのプロダクト開発現場に参加し、”エムスリーのプロダクト開発を肌で感じる”ことでした。この記事では『エムスリーデジカルスマート診療』開発チームが、なぜ超短工期(3ヶ月強!)でリリースできたのか、開発現場から得た気づきを記載します。

エムスリーデジカルスマート診療とは

『エムスリーデジカルスマート診療』は、医療機関での”待ち時間の軽減”、”キャッシュレス決済”を実現するサービスです。5月より都内一部の医療機関でサービス提供を開始しています。

従来、医療機関に訪れた患者は、”窓口受付”→”診察待ち”→”診察”→”会計待ち”→”会計”→”(薬局で)調剤待ち”と、長い待ち時間を強いられてきました。 『エムスリーデジカルスマート診療』では、(1)QRコードによる受付、(2)アプリ上でのクレジット決済、(3)自宅への薬剤郵送*1により、待ち時間を大幅に削減します。また、患者と医療従事者の接触回数を減らし、新型コロナウィルス感染症対策にも貢献します。 *2

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エムスリーデジカルスマート診療

開発体制・スケジュール

開発は、主に以下役割の9名で推進しました。

PdM:1名

アシスタントPdM:1名

ビジネス:1名

デザイナー:1名

スクラムマスター&フルスタック:1名

QA:1名

アプリエンジニア:1名

フロントエンジニア:1名

バックエンドエンジニア:1名

開発期間はなんと、3ヶ月強 ! さすがに無理なのでは?と思っている間に、どんどん出来上がってゆく...!圧倒的なスピード感に驚きました。私が今まで経験してきたシステム開発プロジェクトと何が違うのだろう。*3 なぜ超短工期でリリースできたのか、開発現場から得た気づきを記載します。

体制づくり

メンバーの役割が明確で、チーム内に浸透していました。各役割1名のアサインであるため、相談すべきメンバーがわかりやすく、メンバー同士が自発的にコミュニケーションをとって課題を解決していました。

メンバー選定にあたっては、メンバーの個性が活き、相互補完できるように考慮されていました。例えば、PdMが、圧倒的な推進力でチームを引っ張る一方、アシスタントPdMは、要件をIA(画面設計書)に落として情報を整理したり、マニュアル作成を通じてリスクを発見していました。個性が異なるメンバーでチームを編成し、プロジェクト推進リスクを上手く低減していました。

また、電子カルテ『エムスリーデジカル』の開発に携わったことがあるメンバーを多く集め、診療領域の業務知見をカバーしていました。

体制づくりにおいて、コミュニケーションを取りやすい枠組みにしたこと、メンバーの個性と業務経歴も踏まえてアサインしたことで、開発スピードが向上していると感じました。

チーム運営

ビジネス担当を含め、毎日全員で朝会を開催していました。朝会では、昨日やったこと、今日やったこと、困っていること、気になっていることを順々に報告し、その場で次のアクションを決めていました。エンジニアだけでなく、ビジネス一体のチームにすることで課題を持ち越さない、見逃さないチームになっていました。

朝会では、皆さん本当によく喋ります。会話の量が増えると、些細な情報も共有しやすく、リスクや課題の早期発見と解消に繋がります。この現場から私が感じた、会話が多いチームの要素を列挙します。

  • チームメンバーのタスクが、自身(他チームメンバー)のタスクにどう影響するか、想像できる。

  • プロダクトの成功にコミットしている。チームメンバーのタスクに興味がある。

  • 全メンバー動画ON!些細なイベント(髪を切った、マイク買ったなど)が話題になる。

  • ダジャレ、わかりやすいキツい冗談が飛び交う。発言のハードルが下がる。

工期が短いにもかかわらず、楽しそうにしていたのが印象的でした。

デザイナー担当タスクがボトルネックになりやすいフェーズでは、Mtgの回数を増やす、デザイナー支援を入れるなど、チーム全体でサポートしていました。PdMについては、序盤から最後までアシスタントPdMが入り、迅速にIAアップデートが行われました。開発全体でスループットを最大化すべく、各フェーズで上手くリソース調整とフォローが行われていました。

チーム運営においては、朝会が大きな役目を果たしていました。コミュニケーションの頻度を高め、課題を発見しやすい、放置しないチームになっていました。特定メンバーへの負荷集中に対応し、全体スループットが最大化される工夫がありました。

"プロフェッショナル意識"、"オーナーシップ"

上述の体制づくりとチーム運営を実現する上で、各メンバーの"プロフェッショナル意識"と"オーナーシップ"が基盤になっているように感じました。

各役割の担当が自分だけというのは、相当なプレッシャーがかかっているはずです。それでも「今日は時間が取れるので、チェックイン周りを終わらせます」といった積極的なコミットメントがありました。「できれば今日中にやりたいなと思っています」と言わず、やると言い切るところに痺れました。 プロフェッショナルと聞くとどこか孤独な印象を持ちますが、ある人のプロフェッショナル性が他のメンバーを助けているように感じました。例えば、QA担当の品質に責任を持つ"プロフェッショナル意識"が、エンジニアのプレッシャーを軽減していました。

明確な役割分担は、誰に相談すれば良いかわかりやすくなりますが、自分のタスク以外に関心を持ちづらくなる副作用があります。結果、担当者がいないタスクが発生し、放置され、手戻りや予期しないボトルネックが発生しがちです。 しかしながら、本開発チームは「〜〜〜のところはどうなっていますか?」という会話がよくあり、自分の守備範囲外への関心が高く、プロダクトの成功に対してコミットしていると感じました。

まとめ

私は、前職では外部委託を活用したウォーターフォール型の開発を経験してきました。もし外部委託でウォーターフォール型の開発をしていたら、発注のための要件定義で1ヶ月、見積り取得に1ヶ月で、3ヶ月目となるとまだ設計中だったと思います。

エムスリーの開発現場では、チームメンバーの”プロフェッショナル意識”と”オーナーシップ”を基盤に、体制づくりやチーム運営で開発スピードアップの工夫が施されていました。エムスリーの”スピード感”とその基盤になる社員の”プロフェッショナル意識”、”オーナーシップ”を肌で感じる3ヶ月でした!

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