エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

観点表を活用してテストの抜け漏れを防ごう

【QAチームブログリレー1日目】

こんにちはエンジニアリンググループの森内です。私は現在eESのエビデンスソリューション(治験臨床研究支援)チームでQA(品質保証)を担当しております。本ブログでは、QAの作業効率と生産性向上のために導入したテスト観点表をご紹介をします。

また以前デジカルQAでの取り組みをご紹介するブログも執筆してますので、エムスリーのQA活動にご興味ございましたら併せてご参照下さいませ。

www.m3tech.blog

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テスト観点とは

以下は総務省が公表している人口に関するデータ( https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2022np/index.html )をグラフ化したものです。突然ですが、これらをあなたがテストする場合何を確認しますか?

例えば、

  • 数値が正しいか?
  • 増減率の値は人口の増減数から計算しても一致するか?
  • グラフの種類は適切か?
  • グラフの色使いは見やすいか?
  • 誤字脱字や文字の見切れがないか?
  • webサイトの場合そのページを開いたときにグラフが描画されるまで何秒かかるか?

など様々な視点から確認するべき事項が出てくると思います。これらがテスト観点です。

観点表導入前に抱えていた問題点

先ほど出したテスト観点ですが、これらはあくまで私が出した一例です。人が違えば、あるいは同じ人でもその日コンディションによって出てくる観点は違ってきます。我々のチームはQAメンバーが複数在籍しているため、案件によって観点にばらつきが起きてしまうとテストの抜け漏れに繋がってしまいます。

観点を一覧化

そこでチーム内で観点の一覧表を作成しました。以下がサンプルです。

観点表サンプル
運用方法としては、テスト計画時に観点表からその案件に必要な観点をピックアップして、品質計画書(テスト計画時に作成しているドキュメント)にそのまま張り付けてそこから案件ごとの要件に沿うようにより詳細な確認事項やテストケースを起こします。そして、各案件で新たに思いついた観点は随時共有して追加していくことでチーム全体で日々この観点表を育てて行きました。その際に案件固有の観点はなるべく他案件でも利用できるように抽象化したり、追加しない判断を都度おこなうことで汎用性を保ちつつ膨大になりすぎないようにしました。

メリット

観点表を導入したメリットは大きく3つあります。

  1. 担当者によるテストのばらつきを抑制
  2. テストケースなどのドキュメント作成工数を削減
  3. レビュー時の指標にも活用

1つ目は、同じ表から観点を拾い集めるので案件担当者によるテスト内容のばらつきを抑えられることです。2つ目は、毎案件0から観点を考える必要がなくなったので楽ですし、運用方法でも触れましたが後に作成するテストケースの土台としてそのまま使えるためドキュメント作成工数も減らすことができました。3つ目は、QA内で他のメンバーが作成した品質計画書およびテストケースをレビューしているのですが、その際のテスト内容に過不足がないかは観点表を基に考えれば良いのでレビューの効率と精度が上がりました。

まとめ

我々の成果物はエムスリーグループが持っているデータベースから顧客が必要なデータをグラフで納品するため、(1)数値の品質担保が非常に重要なこと、(2)納品物の形式が似ていることから、異なる案件でも使い回せる観点が非常に多く、観点表と相性が良かったです。しかし、他の現場でも複数のQAメンバーが携わるチームでは観点のばらつきを防ぐ点で観点表は一定の効果が得られると思います。今回ご紹介した内容が皆さまの開発チームの品質保証に少しでもお役に立てれば幸いです。

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エムスリーではQAエンジニアの採用活動にも力を入れております。 私はエムスリーに入社する前からQAエンジニアとして様々なチームに参画してきましたが、エムスリーは開発者の品質意識が非常に高く、バグの作りこみを事前に防ぐ文化が強く根付いています。 開発者とQAエンジニアが二人三脚でプロダクトを良くするためには、QA側のパワーアップが必要です。 カジュアル面談も受付ておりますので、興味を持たれた方は下記よりお問い合わせください。

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