エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

VPoEとしてこの3年間を振り返って

こんにちは。先日、プライベートで購入した話題のM1チップ搭載のMacBook Proが到着*1して毎日が楽しいエムスリーエンジニアリンググループ執行役員兼VPoE兼プロダクトマネージャー兼CDO(Chief Design Officer、最高デザイン責任者)の山崎です。

本ブログはエムスリー Advent Calendar 2020の25日目の記事です。

エムスリー Advent Calendar 2020の締めとして何を書こうか色々と迷ったのですが、今回はVPoEらしく、今年も「VPoEとしてこの3年間を振り返って」と第して2020年を締めくくりたいと思います*2

qiita.com

はじめに

2017年12月にエムスリーにおいて始めてVPoEが設置され、私が初代VPoEに就任しました。 それからの3年間は本当にあっという間に過ぎ、3年も経っているとは信じられないというのが正直なところです。 一方で、その間、多数のチャレンジをしてきました。

この記事では、社内外の参考になるかもしれないと思い、それらのチャレンジを抜粋して紹介したいと思います。 ちなみに、評価制度と報酬に関するチャレンジはセンシティブなので割愛します*3

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なぜか年末になって自宅にMacBook Proがいっぱいある図

書籍の紹介

3年間に渡るチャレンジをするにあたって、ロナルド・A・ハイフェッツの最難関のリーダーシップが非常に参考になったので、オススメします。

技術的問題(テクニカル・プロブレム)と適応課題(アダプティブ・チャレンジ:適用を要する課題とも)を区別する点と、本当に達成したい目的のために「バルコニーに上がって実際に何が起こっているか冷静に観察し、診断してから、大切なものを失うリスクがあっても自らを適応させる行動をとって、再度、バルコニーに上がって実際に何が起こっているのか観察する」という手法を、VPoE就任する直前に読んだのは非常にラッキーだったと思っています。

ロナルド・A・ハイフェッツ氏の考えはNHKの「リーダーシップ白熱教室」でも放送されているので、そちらでご存じの方も多いかもしれません。

(ここまで昨年の記事とほぼ同じと気がついた読者の皆様、流石です!)

3年間の主なタイムライン

0年目

  • 2017/12 VPoE設立、就任

1年目

  • 2018/1 エンジニア人事定例開始
  • 2018/2 4月以降の体制変更を本格的に議論開始
  • 2018/3 4月以降の体制変更を経営会議で承認
  • 2018/4 2018年度体制変更実施、採用チーム再編成、セキュリティチーム設立、業務執行役員就任
  • 2018/5 M3USA支援第1弾
  • 2018/6 初代CTOがM3USAへ移籍、経営会議参加を引き継ぎ
  • 2018/7 技術顧問導入
  • 2018/8 採用ブランディングの強化
  • 2018/9 リクルーターの増員
  • 2018/10 M3USA支援第2弾
  • 2018/11 チーム内SREの実験的導入
  • 2018/12 丸1年経過

2年目

  • 2019/1 2019年度4月体制変更準備
  • 2019/2 技術書典への参加検討
  • 2019/3 4月以降の体制変更を経営会議で承認
  • 2019/4 2019年度体制変更実施、2代目CTOアサイン、グローバルチーム、プロダクト支援チーム設立
  • 2019/5 新入社員のオンボーディング強化
  • 2019/6 基盤チーム新体制への準備開始
  • 2019/7 チーム内SRE本格検討へ
  • 2019/8 コンシューマGのPdM支援本格化
  • 2019/9 M3USA支援第3弾
  • 2019/10 クラウド移行宣言
  • 2019/11 執行役員就任
  • 2019/12 丸2年経過

3年目

  • 2020/1 クラウド化推進及び負荷対策本格化
  • 2020/2 マルデバチーム強化
  • 2020/3 セキュリティチーム新体制へ
  • 2020/4 デザインG及びマルチデバイスプラットフォームGの担当役員へ、デザイナー採用も強化
  • 2020/4 緊急事態宣言を受け1週間で完全リモート化
  • 2020/5 ひたすらフルリモートへの順応
  • 2020/6 ひたすらフルリモートへの順応
  • 2020/7 CTO矢崎さんが業務執行役員へ
  • 2020/7 オンライン勉強会の開催へ
  • 2020/8 エムスリー公式テックチャンネル 【M3 Tech Channel】開設
  • 2020/9 エムスリーコーポレートサイトリニューアル
  • 2020/9 採用チームテコ入れ
  • 2020/10 CDO(Chief Design Officer、最高デザイン責任者)設置、初代CDO就任
  • 2020/10 エンジニアリングGチームリーダー強化
  • 2020/11 2021年への向けての仕込みを開始
  • 2020/12 丸3年経過 <- いまココ

以降、今年は1年目のチャレンジ、2年目のチャレンジ、3年目のチャレンジと切り分けて、振り返りをお届けします! 少しでもエンジニア組織マネジメントに挑戦している方、エンジニアに寄り添って仕事をしている人事の方の参考になればと思います。

1年目のチャレンジ

今振り返ると、1年目のチャレンジは、右往左往しながらも組織マネジメントの型を作っていた1年間だったと感じています。組織をどういう方向に持っていくのか、誰を頼って改革を進めるべきなのか、経営陣の温度感や、説得や説明が必要な部分はどこなのか、一つ一つ課題を洗い出しつつ、それまでに感じていた仮説を検証しながら、今、組織で何が起こっているのか、診断しながら前に進むフェーズだったと思います。

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2年目のチャレンジ

2年目のチャレンジは、1年目で診断した結果を元に、アクセルを踏みまくる1年間だったと感じています。特に1年目での採用ブランディングなどが成果を出し始め、中途採用で大きな成果が出せました(人材レベルを全く落とさず、2017年度比で2倍近い採用を実現)。また、2年目終盤、クラウド移行に舵を切れたのも、後になって思うと非常にタイミングが良く、コロナ禍のビジネスの成長を大きく支えることになりました。そう考えると、2017年からの取り組みが全て重なって、今日の成果につながっていることが良く理解できます。

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3年目のチャレンジ

3年目のチャレンジは、エンジニアリングGに閉じず、エムスリーをプロダクト開発の視点で見たときの組織変革にトライした1年だったと感じています。コロナ禍を振り払うように4月よりデザインGとマルチデバイスプラットフォームG(ネイティブアプリの企画部門)へと担当を拡大し、これにより、プロダクトマネージャー、エンジニア、QA、デザイナーすべての職種の採用と目標設定、文化の構築、アサイン、成果の創出に責任を持つ立場になりました。これをうまく活用して、今まで以上にアウトカムにこだわったプロダクト開発にチャレンジできるようになったことは、プロダクト志向な私にとってはとても大きな進捗と考えています(実際に今まで以上に新規プロダクトの開発が活発になりました)。

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3年間を通じての気付きや学び

3年間を通じての気付きや学びは本当に多くあるのですが、今日はその中でも私が最も重要だと思っている点をお伝えしたいと思います。

それは、大規模な組織改革は人事を巻き込み、現場と人事の二人三脚でやっていくということです。現場が主導でもダメですし、人事が主導でもダメだと思います。まさに、現場と人事がフラットな関係で、心から会社を良くしていく、もっと言えば、プロダクト開発を強化することを通じて、日本やひいては世界の医療にインパクトを与えるという目標(≒夢やビジョン)に向かって、信頼関係を作り、心から協力することが必要不可欠だと考えています。全ての仕事は人で決まる。私自身、それに気がついたのがこの3年間の最も大きな学びでした。

人事と組織を作っていくという観点では、下記の書籍も非常に参考になりました(Kindle版がまさかのスキャンなので、紙書籍をオススメします)。

まとめ

今年も思いの外、長文になりましたね。

エムスリー Advent Calendar 2020の締めとして何を書こうか色々と迷ったのですが、今回はVPoEらしく、「VPoEとしてこの3年間を振り返って」と第して2020年を締めくくりました。

具体的にはこの3年間を振り返り、多くのチャレンジから、重要な気付きを得たことを抜粋してお伝えしました。

12/25の19:30時過ぎから執筆し始めたこともあり、全てのチャレンジに触れることは出来なかったのが残念ですが、社内外で少しでも参考になれば幸いです。

メリークリスマス!

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*1:もちろん開発用に15インチフルスペックも手放せません

*2:今年の業務は12/29まで続き…なんなら運用は12/31の24:00まで続きますがそこはよしなに。

*3:CTO、VPoEの方で聞きたい方がいらっしゃればCTOミートアップなどで個別にお声がけください。