こんにちは。エムスリーエンジニアリングG、プロダクトマネージャーの岩田です。 Product Manager Advent Calendar 2019の10日目の記事です。
今回はPdMとして引き継いだプロダクトをいかに自分ごと化するかというテーマで書かせて頂きます。なおこのテーマは先月開催したソフトウェア・ファーストで医療業界を変える!エムスリーのプロダクトマネージャーの働き方紹介という勉強会で発表したものになります。
なおエムスリーエンジニアリンググループでは、エムスリー Advent Calendar 2019を実施しております。ご興味のある方は是非こちらもご覧ください。
- エムスリーデジカルについて
- デジカルのPdM体制
- PdM引き継ぎ時のアクション
- "自分ごと化"が弱すぎた
- "自分ごと化"を促進するために、ユーザーと同じようにプロダクトを触る
- "自分ごと化"の結果起きたこと
- We’re Hiring
エムスリーデジカルについて
エムスリーデジカル(以下デジカル)とは、開業医向けのクラウド型電子カルテです。 「開業医の手間を削減する」というコンセプトに基づき、直感的なUI、アルゴリズムを活用した入力補助、紙カルテのような書き心地のiPadアプリなどを提供しております。
デジカルのPdM体制
デジカルは2013年頃から構想を開始し、2015年にサービスローンチ、2019年には導入クリニック数が1,100を突破しました。こうしたプロダクトの立ち上げ、グロースには私ではなく山崎が初代PdMとして携わりました。私は2019年7月に彼からデジカルのPdMを引き継ぐという形でエムスリーへ入社しました。もちろん最初からいきなり一人で任されたわけではなく、山崎を始めとした周囲のメンバーから助けられる形でキャッチアップを進めていきました。
PdM引き継ぎ時のアクション
さてここで皆様に想像頂きたいのですが、もし明日からあるプロダクトをPdMとして担当してほしいと言われた場合、キャッチアップのためにどのようなアクションを取るでしょうか。私の場合は以下でした。
プロダクトの理解を深める
- プロダクトを触って仕様や挙動を理解する
- 設計書やマニュアルを読み込む
ユーザーの理解を深める
- ユーザーインタビューで開業時の苦労などを聞く
- ユーザー改善要望に目を通す
ドメインの理解を深める
- 開業医向けの書籍を読んだり、スペシャリストに質問する
はじめの2,3ヶ月くらいはこんな感じでキャッチアップを進めていました。 3ヶ月もすれば流石に一通りの理解は進んできたため、いよいよPdMとしてデジカルをいい感じに発展させていこうと思っていた矢先、山崎とこんなやりとりをしました。
岩「デジカルなんとなく分かってきました。ユーザーの改善要望の意味も理解できてきました」 山「おぉ良いですね。では"岩田さんが思う"デジカルの改善点を挙げてもらえますか?」 岩「ユーザからの要望以外思いつかないですね…(あっ。。。これはだめなやつだ)」
この時、"自分ごと化"が決定的に足りていなかったことが分かりました。
"自分ごと化"が弱すぎた
様々な書籍や講演でさんざん言われていることですが、プロダクトに寄せられるユーザーの改善要望を片っ端からすべて叶えたとしても、ユーザーが実際にそれを買ってくれるかどうかは分かりません。私見ですが、ユーザーが本当に買いたいというプロダクトないしはプロダクトの1機能を見つけることがPdMの重要なミッションであり、それはユーザーの改善要望を眺めるだけでは実現できないことになります。
と頭では思っていたつもりでしたが、見事にこれをやらかしていたことに気が付きました。 この会話の中で、私の脳内にはユーザー要望一覧のこと以外全く改善のアイデアが浮かびませんでした。
山崎のフィードバックでは、とりあえずユーザーと同じようにカルテを触ってみれば多分色々見えてくるよ、とのことでした。これを私はデジカルというプロダクト、ひいてはこのプロダクトが解決しようとしている開業医の手間の削減というミッションの"自分ごと化"が足りてないと受け止め、ここを改善するように意識しました。
"自分ごと化"を促進するために、ユーザーと同じようにプロダクトを触る
これまでもデジカルで様々な操作をしてきましたが、ユーザーと同じように触る、ということができていませんでした。 そこで以下を実践しました。
- マウスとキーボードを用意
- それまではMacbookのトラックパッドとキーボードで操作していたが、ユーザーの多くはマウスとキーボードを使うため
- 1日に50枚程度のカルテを書く
- 開業医の平均カルテ枚数がだいたいこれくらいであるため。内容については流行病や発生が多い疾患のものを中心に
たったこれだけのことではありますが、私の場合は劇的な効果が起きました。端的に言うと、この操作を毎日すると両手が非常に疲れてしまいます。もちろん他の電子カルテと比べればラクにはなっているものの、これはまだまだ改善点が山程あるなという確信がこの時に持てました。
"自分ごと化"の結果起きたこと
1日50枚のカルテを書くと、以下のような変化が起きました。
- 今の機能や仕様を疑うことができる
- ユーザーインタビューの際に、ユーザーがデジカルを触るイメージがつきやすくなる
- UXについて議論する時、「これを1日50回やるのは辛くないか?」という視点を自然と持てる
まだまだPdMとして勉強が足りてない状況ですが、これによって少しは前進できたのかなと自信がつきました。 皆さんも、初代PdMやCEOからプロダクトを引き継いだ時に、まずはユーザーと同じようにプロダクトを触るというのは"自分ごと化"を促進する上で有効なノウハウではないでしょうか。
We’re Hiring
エムスリーでは、医療を劇的に改善するプロダクトにチャレンジしたい実績のあるプロダクトマネージャーを募集しています! まずはカジュアル面談でお話しましょう。