エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

"Go GLOBAL" meetupに参加してきました

エンジニアリンググループの冨岡です。

エムスリーでは去年ごろより海外ブランチとの連携をより強めています。私自身も去年はM3 USAに出張するなどして機運が高まっており、2/28に行われた以下のイベントに参加してきました。

go-global.connpass.com

会場は原宿と渋谷の間にあるSmartNewsさん。余裕のあるオシャレで広いスペースで、気持ちが良かったです。

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地球くんのクッションがある

今回のテーマはスタートアップアクセラレータでした。AirbnbやStripeが参加していたY Combinatorが有名ですが、日本を含め世界各国に様々なアクセラレータがおり、スタートアップエコシステムの一端を担っているようです。

どの話も面白く、話に聞き入ってしまって写真をあまり撮っていなかったのですが、少しだけ紹介させていただきます。

スタートアップアクセラレータとは

まずはSmartNewsTakuo Kihiraさんから、スタートアップアクセラレータに関する認識を揃える発表がありました。

スタートアップとは

スタートアップには明確な定義がありませんが、堅実に受託などで資金を蓄えて進める一般的な中小企業と違い、投資とスピードを武器に短期間で攻めるという特徴があるようです。当たったリターンが大きい分、ほとんどは成功せずに終わる(体感95%とのこと)ようです。

アクセラレータとは

アクセラレータは、成功しそうなスタートアップを見極め後押しすることを目的としています。機能的には1回2〜3ヶ月のバッチ(プログラム)で、採択されたn社のスタートアップに対して、ビジネス講習・ネットワーキングなど様々なサポートをします。

私が特に面白いと感じたのは、米国でもコネ社会というのは存在するため、アクセラレータが提供するコミュニティ・ネットワーキングの機能というのが、米国のスタートアップ界隈においても特に重要だというところです。米国の大学院を卒業してもリファラルがないとどこも面接すらしてくれないという話も懇親会で聞きました。個人としても、ビジネスとしても、ある程度のリファラルがないと相手もしてもらえないようです。世界中から優秀な人・ビジネスが集まることを考えると、最初のフィルターとしては合理的に思えます。

アクセラレータはそのような米国スタートアップエコシステムにおいて、まさに加速器として機能しているように感じました。

WASSHA

次にWASSHAのSatoshi Akitaさんによる発表でした。WASSHAはアフリカをターゲットに、時間単位で借りられるLEDのレンタルビジネスを展開しているとのこと。

この発表では、Akitaさんが強く言われていたのは、「Go GLOBALはアメリカ以外にもある!」ということ。

アフリカではリープフロッグと呼ばれる現象が起きていて、電力の供給が行き届いていない地域でも、モバイル端末で個人間送金をしたり、Airbnbで地域の家に泊まれたりといった面白い状況になっているそうです。

アクセラレータや、Googleから投資を受けるスタートアップも出て来ており、盛り上がっているとのことでした。

ソフトウェアエンジニアから、起業しアメリカのトップアクセラレーターを卒業するまで

次はAutifyRyo Chikazawaさんによるお話。米国のTop 5アクセラレータの1つであるAlchemistを日本人で初めて卒業したとのこと!

Alchemist

AlchemistはBtoBに特化しており、セールスなどの講習も行なっているとのこと(toCであればマーケティングの方が比重が大きい)。社内Linkedinのようなものがあり、大企業のCIOと連絡を取れるなど、やはりここでもネットワーキングをサポートしているようです。

最終日のDemo Dayは全世界にストリーミング配信されており、専用アプリから気に入ったスタートアップにはその場で応募できるそうで、終了後に応募のメールが大量に来たとか。

教えとしては

  • でかい市場を攻めろ
  • 顧客のBurning Needsを解決しろ

とのこと。顧客と話をした際には、「あったら良いですね、完成したら教えてください」では全くダメで、「今すぐ契約するのですぐに使わせてください」を目指せとのこと。「あったら良いな機能は使われない」というのはよく言われることですが、「今、まさに顧客が抱えている(燃えている)課題を解決しろ」という表現は腹落ちしますね。

「英語より大事なものが・・・」

そんなものはない、英語は必須だとのこと。Chikazawaさんはもともと英語が得意ではなかったそうですが、継続すれば誰でもできるようになる。とにかく毎日勉強する、とのことでした。

このあたりは私も先の米国出張で感じたことであり、特に共感しました。

エンジニアにビジネスの基礎を叩き込む500 Startups

500 Startups JapanYohei Sawayamaさんによるお話です。

500 Startups

500 Startupsは世界各国にフランチャイズ展開するスタートアップアクセラレータ・VCです。74カ国2000社以上の支援を行なってきたとのこと。

エンジニアに馴染みのある有名どころではGitlab, SendGridなどの支援もしたそうです。

アクセラレータのよくある誤解
アイデアさえあれば参加できる? => No

アクセラレータは加速器で、メインのターゲットはレイターシード。すでにビジネスを展開していないと、「ちょっとこれ試してみよう」といったことも仮説で終わってしまう。

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起業家の学校のような場所? => No

学校ではなく、相談所・コミュニティといった感じとのこと。今までの話を総合すると、ネットワーキングなどスタートアップが自力で行いづらいことの支援を目的としていることが多そうです。

参加者はアメリカ人がほとんど? => No

ある回では、米国外が42%、そのうち31%がアジア人だったそうです。

倍率は10倍くらい? => No

500 Startupsの場合は50倍くらいで、ファネルは以下のようになっているそう。

2000社アプライ => 200社ビデオ会議 => 40社採択

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プレゼンの練習は最後にやる? => No

最初の週から繰り返し練習することで、ポイントの理解もクリアになっていくとのこと。

Y Combinator 合格攻略法

発表枠最後はJenio, Inc.のDaisuke IshiiさんによるY Combinatorの最終選考で惜しくも落選した話。

docs.google.com

細かい説明はスライドに譲るとして、印象的だったのは1分のYouTubeビデオ審査。

www.youtube.com

このように非常に簡素な作りになっていますが、これは「加工したら落とす」というポリシーになっているためだそう。ビデオ審査と聞いて装飾もりもり合戦になるのでは、と思ったのですがさすがに対応されていました。エレベータピッチに代表されるように、本当に良いスタートアップを見極めるのに、飾りのない創業者の話を聞くというのは効果的なのだと思われます。

また、最後の落選のメールに添えられている以下の文章も印象的です。

Of course, we could easily be mistaken (we certainly have been before). I encourage you to sincerely try and prove us wrong. We would love to see you apply again.

スタートアップを見極める難しさ、またたとえ落選したとしても応募したスタートアップを含め、エコシステムをよくして行こうというアクセラレータの思いが感じられます。

まとめ

GO GLOBAL、またスタートアップアクセラレータをテーマとした勉強会でした。ほとんどの会社が失敗するスタートアップの世界では、ネットワークやコミュニティを活かして全員で知見を貯めて全員で勝つという気概を大きく感じました。グローバルに挑戦する日本のスタートアップの熱を感じられ、とても良い会でした。