こんにちは。エムスリーでプロダクトマネージャーとして働いている岩田(@a___iwata)です。 これは エムスリーアドベントカレンダー2022 の28日目の記事です。
前日は@sassaheroによるデータドリブンなアプローチで巨大なモノリスをマイクロサービスに分割する(ことを考えてみる) - エムスリーテックブログでした。
さて、例年のテックブログでは弊社VPoP山崎が書籍紹介を25日に行うことが恒例でした。
しかし今年は書籍紹介がありません。 恒例の書籍紹介の伝統の火を絶やさないために、私が今年読んで良かった本を紹介します。
www.m3tech.blog ※よく見たら公開後追記として数冊紹介されてますが、見なかったことにします。
なおAmazonのリンクが貼ってありますが、アフィリエイトは設定していないのでご安心ください。
1.鉄道デザインの心
鉄道デザイナーとしてJR九州の寝台特急や新幹線など多数の車両をデザインした筆者がこれまでの仕事を振り返る本です。 タイトルこそ鉄道デザインですが、内容はどちらかというと闘うデザイナーです。闘うプログラマーという名著がありますが、それを鉄道デザイナーに置き換えた版のようなものですw
とにかく顧客(鉄道の利用者)にとって良い車両を生み出すために様々な人々と喧嘩交渉し、顧客要求を汲み取り、値切り、地を這い回ってものを創り上げていく情熱が垣間見えます。
PdM4年目ともなると、この仕事の難しさに苦悩したり、つい手を抜きたくなる瞬間も訪れると思います(私だけか?)。
そうした時に著者の情熱迸るこの書籍を読んで、己を奮い立たせた1年でした。
2.ザ・ゴール
イスラエルの物理学者であるゴールドラットが著述したビジネス書です。ゴールドラットは物理学の知見を企業の生産管理に応用し、TOC(Theory Of Constraints)として理論立てを行いました。 雑にまとめると、闇雲に生産性を上げても大抵の場合意味はなく(非常に効率が悪い)、ボトルネックの解消にこそ集中すべきという話です。 DBがボトルネックなのにWebサーバーチューニングしてもスループット向上にはつながりにくいですよね。これをビジネスや生産管理にも応用したものです。
100個ある課題や要望に対して100個の開発をしていたのでは開発に10年かかってしまいますし、その結果生まれたアプリケーションはユーザーの認知的負荷を遥かに凌駕した複雑さを持ちます。 PdMの最も重要な仕事は、100個ある要望のどれがボトルネックなのか(あるいは100個の外にそれはあるのか)を特定し、これをシンプルに解消する方法を打ち立てることだと考えます。 この1年の特に後半はひたすらこれを様々な現場で行っていた気がします。そうした際に私はいつも本書を思い浮かべ、再読していました。
3.岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。
任天堂の先代社長である岩田聡さんへ、コピーライターの糸井重里さんが行ったインタビューを書籍化したものです。 この本は数年前から繰り返し愛読していたのですが、PdMという立場になって読み直すとより味わい深い箇所がいくつもあります。
上述のザ・ゴール的なボトルネックの話、社員の納得度をなぜ重要視しこれをどうやって保つかという話、「アイデア」とは何かという話など、読み返すたびに心が動かされます。 Web版を無料で読むこともできますが、(できれば紙の)書籍を手にとっていただくことをお薦めします。
4.良い戦略、悪い戦略
良い戦略とは、達成したい野心や目標までの道筋が示されており、かつそこには自分たちの強みや「なぜ自分たちが?」の答えがあること、問題が鎖構造になっていることを理解し最も脆弱な箇所を理解すること、といった「まぁそれはそうだよね」ということを示した書籍です。『ストーリーとしての競争戦略』と結構似ています。
PdMはプロダクト戦略に責任を持たなければなりません。自分が作っている戦略が正しいのか? をチェックする時にこの書籍にはいつもお世話になっています。
5.熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理
プロダクトマネジメントとリスク管理は不可分であると考えます。PdMはプロダクトのあらゆるリスク(売れないリスク、解約されるリスク、開発が大炎上するリスクetc...)に対処することが求められます。 こうしたリスクに対する時、本書の「リスク管理とは説明責任を果たすことだ」「リスクを取らなければリターンもない」といった強烈なメッセージが私の頭の中にはいつもありました。 この書籍は去年のアドベントカレンダーでも紹介していました。併せてご一読頂ければ幸いです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
プロダクト開発に挑まれている方、プロダクトを通して世界を変えようと思っている皆様の参考になれば幸いです。 ということで、皆様良いお年を!
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