こんにちは、こんばんは。年末年始は12/24〜1/9まで17連休を取ってみた執行役員CTO兼VPoPの山崎です。この連休に向けてスノーピークのIGTを買おうと思ったのですが、3ユニットのノーマルと4ユニットのロングどちらを買うべきか、悩みに悩んで、結果ノーマルを2つ買えば6ユニット!ということに気がついて平穏を取り戻しました。もちろんリビングシェルロングProも調達しました。あとは年越しキャンプの予約を取るだけです(さっさと取らないと)。
本ブログはエムスリー Advent Calendar 2022とプロダクトマネージャー Advent Calendar 2022の25日目の記事です。
双方の読者に届くようにダブルエントリーしてみました*1。
昨年は以下のとおり、エンジニア、QA、デザイナー、プロダクトマネージャーのためになりそうな良書を7冊選んでみました。未読の方がいれば是非読んでみてください。
- はじめに
- プロダクトマネージャー育成のスタイル
- 紀元前
- プロダクトマネージャー定例(PdM定例)生まれる
- プロダクトマネージャー定例(PdM定例)の進化
- 学びの事例
- なぜこの方法が最強なのか(公開後追記)
- まとめ
- We are hiring!
はじめに
2021年に引き続き、2022年もプロダクトマネジメント界隈が大いに盛り上がりを見せた1年となりました。pmconf2022も過去最高の5トラック、動員数も過去最高となった模様です。私は、昨年に引き続きプロダクトマネージャー育成のテーマで公募し採択頂いた「拡販フェーズを生き残るチームに必要な2つの理論:八百屋理論とF1理論」と、株式会社クライス&カンパニーさん主催のセッション「ホウレンソウで分かる、デキるPMの働き方」の2つに登壇させていただきました*2。
「拡販フェーズを生き残るチームに必要な2つの理論:八百屋理論とF1理論」の資料については以下のとおり発表当日に公開させていただきました。
また、昨年の登壇セッション「非連続な環境、変化、プロダクトに対応していくためにPdMが習得するべき7つのシコウ」についても、pmconf2021の公式サイトにアーカイブが掲載されていますので、ご興味のある方は是非、御覧ください。
本ブログでは、上記の流れを組みつつ、「エムスリーが誇る最強のプロダクトマネージャー育成環境:プロダクトマネージャー定例」と第して、エムスリーにおけるプロダクトマネージャー育成の取り組みについて紹介できればと思います。
プロダクトマネージャー育成のスタイル
エムスリーには歴史的な経緯から、プロダクトマネージャー組織がいくつかあるのですが、私はVPoPとして、エンジニアリンググループ内に設置されたプロダクト支援チームというプロダクトマネージャー組織と、マルチデバイスプラットフォームグループという全社横断のネイティブアプリを取り扱うプロダクトマネージャー組織、2つの組織をリードしています。
特に、エンジニアリンググループのプロダクト支援チームは直轄しており、主にSaaS製品やその周辺アプリ(具体的にはエムスリーデジカルやデジスマ診療など)をプロダクトマネージャーとして自らリードしながら、プロダクトマネージャーメンバーの育成を積極的に行っています。
プロダクトマネージャーの育成は、色々な書籍やカンファレンスでも未発達な分野と認識されていおり、標準化や教科書の執筆も含めて、世界のあらゆる組織で議論と試行錯誤が繰り返されています。
エムスリーではその中でも、基本に忠実ないわゆるシリコンバレースタイルのプロダクトマネジメントを実践しているわけなのですが、プロダクトマネージャーの育成方法についてもGoogleのAPM(Associate Product Manager)プログラム*3を参考に、自分たちのスタイルにアレンジしながら実践しています。
つまり、私が自ら現役のプロダクトマネージャーとしてプロダクト開発の最前線にたち、その中でジュニアなプロダクトマネージャーたちに「なぜそう進めるのか」を手本として見せて、年間利益50億円以上のプロダクトが生み出せるようにホームランの打ち方を学んでいきます。
今日はその中でも、最も重要な取り組み、いわばエムスリーが誇る最強のプロダクトマネージャー育成環境「プロダクトマネージャー定例(PdM定例)」をご紹介します。
紀元前
この取組は2018年頃に誕生したのですが、それ以前は概ね以下のようなプロダクトマネージャー育成をしていました。
- プロダクトマネージャーには1人で1プロダクト(以上)担当してもらう。
- 私との1on1で進捗と学びを確認し、必要なアドバイスを行う。
- 問題があれば、私がそのプロダクトの重要会議に同席し、適宜フォローする。
これも悪くは無いのですが、以下の問題がありました。
- プロダクトマネージャーが1人1プロダクトなので、基本的に孤独になりがち。
- 私との1on1で素晴らしい学びやフィードバックが発生しても、恩恵を受けられるのはその人と私の2人だけ。
- 現場のミーティングに入らない状態で1on1をやっているので、前提の共有に時間がかかる。
プロダクトマネージャー定例(PdM定例)生まれる
上記のような状態だと、何が起こるかと言うと、私とAさんが行っている1on1で素晴らしい学びが得られると、私とBさんでやっている1on1でそれを共有し、そこで出た素晴らしい学びを、私とCさんで行っている1on1で、Aさんとの学びとBさんとの学びを共有し、そこで出た素晴らしい学びを、1周回って、私とAさんが行っている1on1で、Bさんとの学びをCでさんとの学びを共有し…。
箇条書きで書くとこんな感じです。
1周目
- Aさんとの1on1:Aさんとの学びが発生
- Bさんとの1on1:Aさんとの学びを共有した上で、Bさんとの学びが発生
- Cさんとの1on1:AさんとBさんとの学びを共有した上で、Cさんとの学びが発生
2周目以降
- Aさんとの1on1:BさんとCさんとの学びを共有した上で、Aさんとの学びが発生
- Bさんとの1on1:AさんとCさんとの学びを共有した上で、Bさんとの学びが発生
- Cさんとの1on1:AさんとBさんとの学びを共有した上で、Cさんとの学びが発生
2〜3人くらいならまだ良いですが、4人になる頃には、ある人が言いました。
「全員で集まって、皆の前で公開1on1をやればよいのでは?」
プロダクトマネージャー定例(PdM定例)の進化
そうして生まれたプロダクトマネージャー定例ですが、運用方法が毎年バージョンアップされています。
序盤
2018〜2019年頃の序盤はまさに公開1on1形式でした。私を含む、4名のプロダクトマネージャーが毎週、60分のミーティングで15分づつ持ち時間を持って、毎週の学びを共有頂きます。プロダクト開発の進捗ではなく、プロダクトマネージャーとして学んだことを共有してもらうのがポイントです。ただ、人数が増えると持ち時間が少なくなり、踏み込んだ議論がしにくくなるのがネックでした。
中盤
2020年〜2021年頃は、上記のデメリットを解消するために、時間を等分割するのではなく、別途1on1で把握しているメンバーの学びの中から、これを共有したほうが良さそうというものを私がピックアップ、優先順位を判断しながらファシリテートする、という方式に切り替えました。その時、組織全体として課題になっているテーマを扱えるので、効率面ではとても効果的でした。参加メンバーもプロダクトデザイナー、エンジニアを加えて、15名程度に拡大できました。
一方で、今度は、それぞれが学んだことを共有する、という元々の観点が弱くなり、2年立つ頃には全体のレベルが相当上ってきたこともあって、マンネリ感が出てきてしまいました。
現在
そして、2021年頃より始まったのが、現在の進め方です。具体的にはファシリテーターを持ち回りにして、まずはファシリテーターに学びを発表してもらい、その観点を私やその他の人が、自由に深ぼっていく方式にしました。いわば、序盤と中盤の方式のハイブリッドです。ジュニア目なファシリテーターの時は私が積極的に介入して、学びを増幅し、シニア目なファシリテーターの時は任せることによって意外性や幅を取り入れます。
学びの事例
このプロダクトマネージャー定例、オファーフェーズに入った候補者には、入社後のイメージを掴んでもらうために実際に参加してもらったりしているのですが、「面白かった」「エムスリーで働くイメージが湧いた」「他社には無い素晴らしい取り組み」などポジティブな声を頂いています。
また、エムスリーのプロダクトマネージャー達からも大変好評で、皆さん毎週楽しみにしてくれているようです。それぞれのメンバーとの1on1でも、今週のプロダクトマネージャー定例でこれが学びになった、面白かったと意見をもらえますし、その話題から、次の発表ではこれを発表しよう、と刺激にもなっているようです。
メンバーのブログからも、プロダクトマネージャー定例の効果が見られるので、2018年から200回以上、開催してきて本当に良かったです。唯一の失敗は録画していなかったことくらいです*4。
以下、メンバーが書いてくれたブログをいくつか紹介しておきます。
なぜこの方法が最強なのか(公開後追記)
なぜこの方法が最強なのか、折角なので補足することにします。
ここ数年で日本でも及川卓也さん、小城久美子さん、曽根原春樹さんら著の「プロダクトマネジメントのすべて」や、宮田 善孝さん著の「ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて」などプロダクトマネジメントに関する素晴らしい書籍が出版されています。ラディカ・ダットさん著、曽根原春樹さん翻訳監修の「ラディカル・プロダクト・シンキング」も見逃せません。
一方で、冒頭で触れた通り、プロダクトマネージャーの育成の方法論については世界的にもまだまだ未発達で、上記のような書籍から学ぶためにも一定のプロダクトマネジメント経験が必要とされている状況です。
つまり、より早く、確実に一流のプロダクトマネージャーとして成長するためには、限られた時間の中で効率的に経験を積み、学ぶ必要があるのです。
それを実現するのがこのプロダクトマネージャー定例という方法です。
もちろん一人ひとりのプロダクトマネージャーが経験を積むことが重要という前提の上、プロダクトマネージャーが毎週集まって直近経験した貴重な学びをお互いシェアすることによって、通常、1人が5年かかる経験を、5人で1年で経験することができるかもしれません。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というオットー・フォン・ビスマルクの格言がありますが*5、これの意味は「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。」ことだとされており、まさにプロダクトマネージャー定例の本質と言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
エムスリー Advent Calendar 2022 & プロダクトマネージャー Advent Calendar 2022の締めとして何を書こうか色々と迷ったのですが、今回は「エムスリーが誇る最強のプロダクトマネージャー育成環境:プロダクトマネージャー定例」と第して2022年を締めくくりました*6。
結局、現在12/25 20:00近くと今年も休日返上でギリギリまで執筆していたのですが、まだまだ紹介したい多くのプロダクトマネージャー育成に関する取り組みをすべて紹介しきれなかったことが残念です。とはいえ、プロダクト開発で世界を変えようとしている読者の皆さんに、少しでも参考になれば幸いです。@yamamutekingのフォローもお忘れなく。本ブログのツイート、RTも歓迎しています。コメント付きRTで是非感想をお寄せください。
ということで、今年もメリークリスマス!そして良いお年を!
We are hiring!
エムスリーでは、多数のチャレンジに果敢にアタックする力と愛を兼ね備えたエンジニア、QA、デザイナー、プロダクトマネージャーを絶賛募集中です。
特にプロダクトマネージャーにとっては打席数も多く、プロダクトマネジメントの基礎知識を習得しながら、社会にインパクトのある収益性の高いプロダクトを開発する経験、ホームランの打ち方を学べるを学べる良い環境だと思います。
また、腕に覚えのあるソフトウェアエンジニアやQA、プロダクトデザイナーの方からの応募も絶賛募集中です!
*1:1つの記事を2つのアドベントカレンダーに紐付けるのはダブルポストでは無いですよね?多分。
*2:pmconf2022で2セッション登壇したのは私だけだったみたいなので、ちょっと嬉しかったです^^
*3:https://tumada.medium.com/associate-product-manager-program-dbf947d78475
*4:当時は物理出社でミーティングを簡単に録画する方法がなかった。2023年は録画しよう!
*5:https://ja.wikiquote.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF
*6:実際には7選どころではないw