エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

半年間で45人にユーザーインタビューをして学んだこと

こんにちは。エムスリーエンジニアリンググループ、プロダクトマネージャーの中村です。日本最大級のオンライン健康相談サービスであるアスクドクターズをはじめ、コンシューマ領域でプロダクトマネジメントを担当しています。

今回は、プロダクトマネジメントをしていく上で必須の「ユーザーインタビュー」についてブログを書きます。

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はじめに

2020年上半期、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務となりながらも、プロダクトの仮説検証のため、45人の方にインタビューを実施しました。

そこで今回は、ユーザーインタビューを実施する中で得た学びを更に深めるため、ブログの場を借りて学びを振り返りたいと思います。

この記事が、チーム内にUXリサーチが得意なメンバーがいないため、自らユーザーインタビューを実施しようと思っている方の参考になると幸いです。

インタビューの形式

1人のユーザーを深堀するために、必ずデプスインタビュー形式で行っています。*1

インタビューの目的は、プロダクトの状況により様々考えられ、例えば、課題を発見することや、ソリューション仮説を検証することなどがあります。

基本的には仮説を立てた上で、ユーザー理解を深め、プロダクトを発見するために実施しています。

新たな気付き

今回、新たな気付きとして得たことは、インタビューのテーマによって集客に大きな差があるということでした。

たとえば、「アスクドクターズの改善のためのインタビュー」といった漠然としたテーマで参加者を募るよりも、「自分もしくは家族が認知症かもしれない人へのインタビュー」と絞って集めた方が、多くの参加希望者が集まりました。

つまり、そのテーマに対して課題感を持っている人の規模感を、リクルーティングの時点である程度把握できるということになります。

また、金額や支払い有無について悩む謝礼についても、そのテーマに対して課題感が大きければ、謝礼をお支払いせずとも協力してくれるユーザーを集めることが可能です。

謝礼なしで実施するインタビューのメリットとしては、純粋にその課題について話したい人が集まることです。謝礼をお支払いする場合、謝礼目的で、実は課題感自体はあまり持っておらず、インタビューが空振りすることがありました。

テーマを絞って謝礼なしで実施した場合、空振りすることなく、充実したインタビューを実施できました。

当然、あえてテーマを明確にしたくない場合もありますので、必ずしもテーマを絞ることが正しいわけではないことを、補足させていただきます。

師匠と弟子法

UXリサーチの必読書として各所で紹介されている「ユーザビリティエンジニアリング」や「UXリサーチの道具箱」で紹介されている、「師匠と弟子法」を使ってインタビューを進めていきます。

師匠と弟子法とは、以下のようなものです。

  • インタビュアーを弟子、ユーザーを師匠と見立てて、インタビュアーはユーザーに弟子入りするようにインタビューする方法
  • 弟子が「観察と質問」を通じて、師匠が言語化できない情報も含めて自力で学び取ることで、ユーザー体験の把握を行う

ユーザーを「気難しい師匠」だと思って、以下のポイントに注意しながら、「根掘り葉掘り」話を聞いていきます。

  • ユーザーは話を要約する
  • ユーザーの話は不完全
  • ユーザーは例外に触れようとしない

インタビュー結果の共有

プロダクトに関わるメンバー全員にインタビューを聞いてもらうことが理想ですが、現実的ではありませんので、下記画像のようにスプレッドシートにまとめ、チームに展開しています。

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実際に利用しているフォーマットを元に作成したサンプルです。

このようにまとめることで、インタビュー結果が俯瞰して見やすくなりますし、チームメンバーが短時間でインタビュー結果をインプットするのにも役立ちます。

まとめる際のポイントは、「事実」と「考察・気づき」を分けることです。そうすることで、インタビューで得た事実からチームが学習し、新たな仮説を立てることができます。

リモートでのインタビュー実施

新型コロナウィルス感染拡大防止の観点で、現在、対面でのインタビューは行っていません。インタビュー実施は、電話かZoomを利用しています。

インタビューについて書かれた書籍などには、基本的にユーザーインタビューは対面でやることが推奨されていますので、最初は電話やZoomで成立するのか不安でした。

ただ、やってみると電話やZoomでも十分な成果を得られていると感じています。

アスクドクターズでは、地方に住んでいる方、子育て中の方など、様々なユーザーの声を聞く必要があります。インタビューをリモートで行うことで、都内のオフィスに来社できないユーザーの声を聞くことができます。

リモートでのインタビューには、リクルーティングのしやすさ、インタビュー実施コストが低いというメリットがあります。

まとめ

今回のブログでは、どのようにユーザーインタビューを実践しているかと、そこから学んだことをまとめました。 引き続きユーザーインタビューを重ねていき、プロダクトやユーザーに対する解像度を高めていきたいと思います。

参考書籍

最後になりますが、私がユーザーインタビューの際に参考にしている書籍の一部をご紹介します。

インタビューを始める時の第一歩はコレ! インタビューのテクニックについて学べる本

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インタビューを含めた仮説検証の考え方・プロセスについて学べる本

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顧客のインサイトを探るインタビュー方法が学べる無料教材

【無料PDF】デザイン思考を実践するための学習教材一覧

※リンクは、デザイン思考研究所のHPに遷移します。

N=1インタビューの活かし方が学べる本

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*1:デプスインタビューとは、対象者とインタビュアーが一対一で対話するインタビュー手法です。