エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

アクセント学: "エムスリー"のアクセントは-3型なのか平板型なのかの謎に迫る

こんにちは、CTOの大垣です。 このブログはマネジメントチームブログリレー 3日目の記事です。前回は岩佐さんの、リモートワークを自作ルーター(OpenWrt)で支える でした。リモートワークで必要な3種の神器、キーボード・机・ルーターは自作するの楽しそうですよね(?)

さて、今日のテーマは打って変わって、"アクセント"です。 普段皆さんが何度も口に出していてほしい"エムスリー"という名前、皆さんどういうアクセントで呼んでますか?エムスリー?そうですよね!

さて、今回はCTOとして、"エムスリー"はどういうアクセントで読むのが正しいのか、について技術的に決着をつけに来ました。 今回のブログを読んで、エムスリーをエムスリーって読むんだよと言う話で盛り上がり、エムスリーの名前が医療従事者とエムスリー社員以外にも広くたくさん呼ばれるようになると嬉しいです。

※とは言ってもこのアクセントが今後もエムスリーの公式見解になるかは特に決まってないのであしからず。あくまでも私の意見です。 また、筆者は機械学習エンジニアであり、音声合成のためにアクセント学をかじった程度の知識なので、調査内容に誤りがあったらすみません。

東京式アクセントの基本: 一度下がり目が来たら上がらない

つまり、エムスリーのアクセントとしてあり得るのは以下の5択になるわけです

頭高型: エ↓ムスリー

-4型: エム↓スリー

-3型: エムス↓リー

尾高型: エムスリ↓ー

平板型: エムスリー

社内の傾向

エンジニアにアンケートを取ったところ、回答者43人中、 が31名、が10名という結果になりました。 つまり、殆どがエムスリ↓ー、ついでエ↓ムスリーという二強です。

www.youtube.com

このYoutube対談でも冒頭山崎さんはで発音しています。

エムスリ↓ーが主流であることは間違いないのですが、ただみんながどう呼んでいるかわかっただけでは面白くないです。 本稿では、どうしてこのような読み方がされるのか、なんとなく、以外の背景を与えられるかについて探っていき、自信を持ってエムスリ↓ーと呼べるようになるのを目指します。

外来語アクセント規則

実は日本語の単語のアクセントの中でも外来語はルールがわりと明確で、

  • 末尾から数えて3拍目の音にアクセントが来る(つまり後ろ2つが下がる)
  • ただし、浸透するとともに徐々に平板化する言葉もある
  • 一部の言葉は原語のアクセントに寄る

というようなルールがあります*1 *2。それぞれ"エムスリー"にあてはまるか見てみましょう

第一規則: -3型・中高型アクセント

ただし、エムスリーと同じ"○○○○ー" 型のものは末尾が長音なのもあり、後ろから4拍目にアクセントが来る("○○↓○○ー")ことが多いように思います。

エムスリーもやはりマイナス3、4型なのか?というと、たしか-4型はありそうだけど、すごくしっくりは来ないですね

第二規則: 専門用語・若者言葉の平板化

次のルールに行きます。個人的に外来語アクセントの面白いところだと思っているのですが、最初は前項で話したようなマイナス三型が中心の外来語も、特に若者に浸透するとしばしば時間とともに平板化するという性質があります。

専門用語の平板化

また、必ずしも若者言葉とは限らず、先の例でも、ギターが平板化するのは実際にギターを弾いている人に多かったりします*3

これはインフラを触ったことがあるエンジニアは平板で読む人が多いですよね。

他にも筆者の属性だと

  • (元は )
  • (元は)
  • (元は)

あたりが平板化します。つまり、いくつかの言葉を発音してもらってどれが平板化するか調べればその人の職業(医療系)、更にその中でも細かい属性 (バックエンドエンジニア・MLエンジニア) みたいなことまでわかるわけですね。面白い!

また、一人の中でも使い分けるときもあります。例えばエンジニアでは、

はアクセント変わる人が多いですよね。

エムスリーは平板化するか

ではこのルールで行って

がしっくり来るかというとなんか違います。

ただし、若者言葉に振り切った文脈の文章にして、

って言ってもらうとなんかしっくり来る気はしますね。

余談: 会社名の平板化

余談ですが、筆者は前職は株式会社ドワンゴに務めてたのですが、この会社は、社員やweb業界の人からは と呼ばれがちで、正式な場や一般の方はと呼んでいたので、まさにマイナス3型と、その専門用語による平板化が起きてました。

"エムスリー"ではなぜここまでの法則に従わないのか、というのが今回興味を持ったきっかけです。

第三規則: 原語のアクセントに寄る

今更ですが、当然"エムスリー"は"M3"というアルファベット表記から来ています。 M3を英語で読むときは語頭にアクセントが来る読みに聞こえます。

つまり、 が一定支持されているのは、この、英語読みに近いアクセントだから、という理由に思います。

エムスリ↓ー?

さて、ここまで3つの規則で見てきましたが、社内で最も支持されていた は3つのどの規則でも説明がつきませんでした。ということは単語のアクセントの基本規則からは外れているということになりますね。

原語アクセント + 複合語 = エムスリ↓ー

ここでまた原語のM3の話に戻ります。当然ですがこれは、MとThreeを組み合わせた造語です。 で、これは文字列を見た瞬間に日本人でも当然わかる話です。 つまり、エムスリーはエム+スリーなんだな、とわかる複合語、なわけです。

そして、Mとthreeのそれぞれ単体でのアクセントは、おそらくあまりに一般的な英語ゆえに原語アクセントルールが適用され、 (そもそも原語では母音一つですしね)になります。

さらに、追加ルールとして、外来語が複合語化する時には、後ろの語のアクセントが残ることが多いようです*4

この、原語アクセントが残る + 複合語で後ろのアクセントが残る、というルールでの読み方が なのかな、というのが今回の私の調査の決着です。

VOICEVOX:ずんだもんに感謝なのだ

今回、一つの単語を色々なアクセントで喋らせるに当たって、最初はGCPやAWSなどの音声合成を触っていたのですが、当然ながら日本語アクセント編集用の機能など存在しておらず、変なアクセントで読ませるのにめちゃめちゃ苦労しました。

その点VOICEVOXには標準でアクセント核を編集する機能がついていて、さすが日本語音声合成、と、とても感謝しました。 また、編集せずとも当然アクセント推定も行ってくれるのですが、本稿で話題に挙げた読みはほとんどあってました。エムスリーも一発で尾高型で読んでました。 外来語はまだしも、和語も含めたアクセント規則なんてかなり複雑なので、やはり日本語特化の機械学習のリソースはちゃんと作っていかなきゃいけないよね、と改めて感じます。

VOICEVOXでアクセント核を編集するエディタ。とてもわかりやすい。

まとめ

エムスリーの呼び方は尾高型のエムスリ↓ーが多く、これはエムとスリーの複合語としてのアクセントと解釈するのがスッキリするのではないか、という議論を展開しました。 一方で英語の読み方に近い頭高型のエ↓ムスリーも納得感があり、つまりみんな心に自分のエムスリーを持って生きてほしいです。

We are Hiring!

エムスリーではエムスリーと口に出してたくさん呼んでくれるエンジニアと、アクセントみたいな当たり前に感じがちなことにも疑問を持って突き詰めるエンジニアを募集しています。

エンジニア採用ページはこちら

jobs.m3.com

エンジニア新卒採用サイト

fresh.m3recruit.com

カジュアル面談はこちら

jobs.m3.com

*1:東京外国語大学言語モジュール https://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/ja/pmod/practical/02-06-01.php

*2:NHKアクセント辞典 "新辞典"への大改訂(4)外来語のアクセントの現況 : 在来語化する外来語 https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/pdf/20161001_6.pdf

*3:筆者もクラシックギターを演奏するので、平板で読みます

*4:日本語における外来語のアクセントの拍数別特徴 https://cir.nii.ac.jp/crid/1050282677702972544