エムスリーテックブログ

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超一流のプロダクトマネージャーへの道:世界観編

この記事はエムスリーAdvent Calendar 2023の19日目の記事です。

こんにちは。エンジニアリンググループ プロダクト支援チームでプロダクトマネージャーをしている中村です。日々、取締役CTO/VPoPの山崎から学び、超一流のプロダクトマネージャーを目指しています。

先日、「超一流のプロダクトマネージャーへの道」というタイトルで、超一流のプロダクトマネージャーを目指す中での学びや体験を書きました。

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今回のブログでは、超一流のプロダクトマネージャーを目指すうえで不可欠な世界観について、現時点での私の理解を整理していきたいと思います。

エムスリーではプロダクトの世界観が重要視されている

先日、プロダクトマネジメントにおける国内最大級のカンファレンスpmconf2023が開催され、エムスリーからは山崎さんが登壇しました。発表資料、アーカイブ動画は以下からご覧いただけます。

2023.pmconf.jp

また、山崎さんとVPoEの河合さんによるpmconf23の振り返り動画も公開されています。pmconf23の見どころなどが語られていますので、アーカイブ動画と共にぜひご覧ください。

www.youtube.com

山崎さんの発表の中で、「プロダクトと事業を無限にスケールするための最強のロードマップとは拡張可能な世界観から動的に生成される」として、「拡張可能な世界観」の重要性が語られました。

エムスリーでは、日々の業務の中でそもそも世界観を活用することが求められています。プロダクトマネージャーが集まる勉強会*1や1on1の中では、その活用の仕方についてしばしば話題にあがります。 発表の中でも語られている通り、超一流のプロダクトマネージャーを目指すにあたって、この世界観の活用が不可欠なスキルとして位置付けられているからです。

本ブログで扱う世界観とは

本ブログでは、そのプロダクトを一言を表すとどういうことか、そのプロダクトの特徴を表すシンプルな表現のことを世界観と表現します。たとえば弊社Web講演会アプリ*2の世界観は「フェスアプリ」です。医師の講演会を音楽フェスティバルのライブと見立てて、世界観を表現しています。

世界観を活用するか否かによる、プロダクトマネジメントへの影響

A/Bテストの結果の捉え方や改善策の打ち方、また、ユーザーインタビューで得たインプットをプロダクトに反映させる際に、世界観を使いこなせるPdMかどうかで、そのムーブに雲泥の差があります。

具体例として、A/Bテストで伸ばしたかった指標とは別の指標に、想定外のネガティブ影響が生じた事例(実際の事例です)を取り上げます。

  • 世界観を活用しない場合:集めたファクトをメタ認知せずに、改善策を打とうとします。つまり対症療法です。

  • 世界観を活用する場合:世界観に立ち戻り、問題の根本を改善しようとします。

対症療法が必要な場合も当然ありますが、この事例では、世界観に立ち戻ることで世界観とプロダクトが合致していないことに気が付きました。さらに言うと、A/Bテストが失敗しただけでなく、プロダクトとして生み出す利益の最大化が出来ていないという状況だったのです。そこで、世界観を整理するための改善を実施しました。

世界観の整理

まず、そのプロダクトの世界観は何か、「一言で表す」ことから始めました。

世界観を一言で表せたら、世界観とプロダクトの構造において大きなズレが生じていることが明らかになりました。すなわち、世界観がプロダクトに反映されていれば本来そのような仕様になっているはずはない、といったものです。そこで、そのズレを無くし世界観が反映されたプロダクトにすべく、仕様を変更しました。

世界観を整理したことで起きたこと

世界観の整理後、再度A/Bテストを行ったところ、想定通りの結果を得ることができました。さらに、以前行ってあまり良い結果が出なかった施策を、世界観を整理した後に再テストしたところ、当初期待していた成果を得られました。

このことから、以下のことを学びました。

  • 世界観を使いこなすことがアウトカムに直結する
  • 世界観は細部の仕様決定にまで影響する

「神は細部に宿る」という言葉が好きで、以前から細部の仕様検討まで妥協せずにやってきた自負はありました。しかし、細部になればなるほど個別最適になっており、全体の世界観の中でどうあるべきかを考えられていなかったということに気が付きました。つまり、ただ闇雲に細部にまでこだわれば良いということではなく、細部にまで世界観が行き渡っているかにこだわる必要があるのです。そうすることでちぐはぐに見えない筋の通ったプロダクトとなり、ユーザーから愛されるのだと思います。そしてその結果がアウトカムとなり、事業の成長につながるのだと思います。

まとめ

本ブログでは、プロダクトマネジメントにおいて世界観を活用することの効果をご紹介しました。具体的には、世界観を活用することが対症療法や部分最適に陥ることを防ぎ、プロダクトの成長につながるということです。

以前から世界観の重要性は理解しているつもりでしたが、プロダクトマネジメントの中で活用しきれていませんでした。本ブログの中でご紹介したA/Bテストの事例での経験により、世界観を活用することでこれほどアウトカムに違いが出るのかと、世界観の持つ力を改めて実感しました。

引き続き超一流のプロダクトマネージャーを目指し、世界観を使いこなすだけでなく、「拡張可能な世界観」をも使いこなせるようになっていきたいです。

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*1:この会については「エムスリーが誇る最強のプロダクトマネージャー育成環境:プロダクトマネージャー定例」として以前のテックブログで紹介されています。

*2:Web講演会とは、日本最大級の医療従事者向けWebセミナープラットフォームです。エンジニアリンググループの紹介資料でもご紹介しています。