こんにちは! エムスリーエンジニアリンググループ、SREチームの平岡(@uhtter)です。 このブログはSREチームブログリレーの1日目の記事になります。
今年もこの季節がやってまいりました。 2025年7月11日と12日の2日間で開催された、 SRE NEXT 2025 に行ってきました。 今回の記事はその参加レポートです。

セッション紹介
今回も例外なく全てのセッションが興味深く、何かしらの学びがあったと感じています。 以降、個人的に特に印象的だったセッションを3つ挙げて紹介します。
- SRE NEXT 2025 資料一覧 (←こういうのがすぐ作られるの有り難いですね)
SRE へのサポートケースをAIに管理させる方法
概要
Ubie の guni さん(@guni1192)の発表。
SREへの問い合わせを Slack Bot + AI で効率化するお話でした。
一次回答をAIに任せることで、簡単な問い合わせが来るのを減らしつつ、相手側が自分で対応できるケースでの自己解決を促す、という一石二鳥。 一次回答では解決できない場合のみチケットを発行し、そのアサインをSREメンバーの負荷状況を見ながら差配する部分もAIにやってもらっているとのこと。
問い合わせの効率が飛躍的に上がった一方、あるあるなオチが待っていて、最後は笑ってしまいました。
感想
初日の午前中から、SRE業務でAI活用している実践的な話を聞けました。 本セッションに限らず、SRExAIは皆さん気になっているテーマだったようで、自分もその一人だったので興味深く拝聴しました。
SRE文脈でAI活用を考えると、自分の頭で最初に思いつくのは Ops のサポート(監視の高度化とか、トラブルシュートの効率化とか)でしたが、 反復性があって日々の中で定常的に発生している負荷を減らす点で、実は相性が一番良いのは Toil 削減の領域かもしれない、と気付かされました。
オチの部分では笑ってしまいましたが、考えてみれば業務の効率化を進めていくと必ず行き当たることで、本質的な活動をしていることを示唆しているな、と思いました。
SREチームの越境と対話 〜どのようにしてイオンスマートテクノロジーは横軸運用チームの廃止に至ったか〜
概要
イオンスマートテクノロジーの斎藤さん(@hikkie13)の発表。
組織横断チームとしてのSREチームが廃止されるまでの道のりの話。
単に「不要になったから廃止する」という様な話ではなく、「SRE文化を組織内の協業関係の中に溶け込ませていくことで、なくなっても不安・不満が生じないようにする」ことを目指していった。
対話と協働で乗り越えていく。
感想
弊社では組織横断として存在しているコアSREと、サービスチーム内に Embedded されているチームSREとが分かれており、コアSREは「いずれなくなるかもしれない」という議論が度々されている最中でしたので、その先の未来の話として、非常に興味深く聞くことができました。 大規模な組織の中、利害が必ずしも重ならないであろう関係性の中で、「対話と協働」を武器にSRE文化の浸透を果たしていく姿勢が素晴らしいと思いました。
発表の最後に「資料だと全部うまくいった感じですが、実際は色々と大変でした」の様なニュアンスの言葉を仰っていて、それも含めて強さを感じさせました。
ARR150億円、エンジニア140名、27チーム、17プロダクトから始めるSLO
概要
SmartHR の佐藤さん(@SawshoS)の発表。
一度SLOを導入したけれどうまく活用するまで至らず困っていたところ、全社規模の大規模障害を経験した結果、SLOの価値が見直され、再導入に成功した、という話。
SLOのオーナーシップをSREチームでなくサービスチームに持ってもらうことで、SLO違反時のアクションを確実にやってもらえるようになった、とのこと。
「SLOは必要な信頼性が保てているかを計測するためのツールに過ぎない」と端的に説明することで、正しく価値を感じてもらうことが大事。
感想
なにかの教科書に載せたいくらいわかりやすい失敗→成功の事例だと思いました。
人や組織の価値観は簡単には変えられないが、ピンチが訪れるとその機運が訪れる、というまさに「ピンチはチャンス」な話だなと感じました。 発表内で説明されていたミスコミュニケーションの例は、ともするとSLOを説明する側も思い込みやすい罠だと感じました。
話していただいた様な大規模障害に見舞われる前に、先手を打ってSLO活用・拡大に取り組んで行こう、と背中を押して貰えるような発表でした。
おわりに
2022年から昨年まで毎年参加していたので、今年の開催も楽しみにしていましたが、期待以上の体験になりました。
様々な状況にある登壇者の皆さんが、SRE文化をどう取り入れ、どう広めていったのかの挑戦の歴史を語ってくれることで、聴衆の共感を呼び、実践を後押ししてくれる非常に意義のあるイベントだと感じています。 実際この2日間を通して、皆さんの発表を聞きながら、自らに照らし合わせながら現状を振り返り、明日からのSRE活動を考える貴重な機会になりました。 毎年そう思っているので、自分にとって「今年のSRE振り返り会」になっているように思います。
次回開催の SRE NEXT 2026 にもぜひ参加したいと思います 💪
SRE NEXT 2026 開催決定しました!!!
— SRE NEXT (@srenext) 2025年7月12日
場所は今年と同じTOC有明です!!!#srenext pic.twitter.com/6pxetHLL2y
We are hiring!
というわけで、エムスリーのエンジニアリンググループでは、システム・サービス・組織の信頼性について考え、挑戦し続けるSREの皆さんをお待ちしています。 SREについては、組織横断での信頼性に関わるコアSREと、個別のサービスの運用改善に注力できるチームSREの両者で絶賛募集中です!