エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

産休・育休〜職場復帰の体験記:プロダクトマネージャー編

こんにちは。エムスリーエンジニアリンググループの中村です。 現在は1歳8ヶ月の娘を育てながら、プロダクトマネージャーとして働いています。

私がこのブログを書くのは実に1年9ヶ月ぶりとなります。 というのも2020年12月より産休に入り、育休を経て、今年の4月より職場復帰したからです。

今回のブログでは、エムスリーエンジニアリンググループにおける産休・育休取得の実態、復帰後の働き方、その中で私が感じたこと・学んだことについて、お伝えします。

このブログが、エムスリーに転職を考えているけれどハードワークそうだしプライベートと両立できるのかと不安に感じている方や、これから出産・子育てを経験されるプロダクトマネージャーの方にとって、少しでも役に立つものであれば幸いです。

新江ノ島水族館にて娘と。赤ちゃんの仮説検証サイクルと成長の速さには常に驚かされます。

妊娠期間の仕事とサポート体制について

働き方

まずはじめに、妊娠期間中の仕事との両立と、会社からのサポートについてお伝えしたいと思います。

私が妊娠していた期間は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が拡大していた時期だったため、つわりをはじめとした体調不良と相まって、精神的にも身体的にも非常に辛い時期でした。 そんな中でも新型コロナウイルス感染症の対策として、全社的にリモートワーク中心の勤務体制が取られたことは、非常にありがたかったです。*1 リモートワークだったため、体調は悪いけど休むほどではないというときは、昼休みに仮眠を取るなど体調面をケアしながら働くことができました。

福利厚生

また、福利厚生にも非常に助けられました。 具体的には、助産師による妊婦向けの無料健康相談を利用しました。*2

妊婦は定期的に病院を受診しますが、診察時間は限られていますし、予約外で病院を受診しようとするとかなりの待ち時間が想定されると思います。 そんな妊婦の課題を、助産師によるZoomやメールでの丁寧かつ的確なアドバイスで解決する、非常に素晴らしいサービスだと感じました。

ちなみに、私の相談に対応してくださった助産師の方も子育て中のママさんだったため、つわりや妊娠中のマイナートラブルへの対処法だけでなく、保育園の選び方など、多岐にわたるアドバイスをいただきとても感謝しております。

産休・育休取得に対する周囲の反応

産休に入るにあたり周囲に対して申し訳ない気持ちもあったのですが、上司や同僚のみなさんから「仕事のことは気にせずに、子育てに専念してください」と温かく送り出してもらえたため、仕事への負い目を感じること無く出産・育児に専念できました。

「子どもの成長は驚くほど早いので、しっかり目に焼き付けてくださいね」「赤ちゃんの泣いているときの写真や動画もたくさん撮っておいた方が良いですよ」など、育児経験者の諸先輩方から温かいアドバイスもたくさんいただきました。

復帰に際しての不安と実際

復帰に際して、3つの不安を抱えていました。

  1. 仕事についていけるのか、勘は戻るのか
  2. 仕事と育児を両立できるのか
  3. 育児しながらプロダクトマネージャーとして成長できるのか

この章では、以上3点について実際にどうだったのかをお伝えしたいと思います。

1. 仕事についていけるのか、勘は戻るのか

復帰後は、以前担当していたアスクドクターズ*3というコンシューマ向けプロダクトを担当することになりました。 ブランクはあり忘れていることも多々ありましたが、以前担当していたプロダクトだったので、基礎がある状態でキャッチアップを始めることができ、比較的スムーズに勘を取り戻すことができました。 会社の状況や周囲のメンバーの状況など色々とあるので、必ずしも元のチームに戻れるわけではないかと思いますが、元のチームに戻れるよう配慮いただき本当に良かったと思っています。

また、アスクドクターズは産休・育休中にユーザーとしてよく利用し、現在もヘビーに利用しているサービスです。 そのため、サービスへの解像度が以前より高まり、よりユーザー目線でプロダクトマネジメントに取り組めるようになったと感じています。

2. 仕事と育児を両立できるのか

自分の裁量で働き方をコントロールでき、周囲の理解も厚い環境がある

私の現在の働き方は9時〜16時の時短勤務で、ほぼリモートワークです。 通勤時間がない分、子どもが保育園に行っている時間は最大限仕事に当てることが出来ています。

時短のため夕方以降の会議に参加出来なかったり、子どもの病気で急に休まなければならないこともあります。 ただ、それにより負い目に感じるようなことはありません。 なぜなら、一緒に働く同僚の方たちがみな、自然に配慮してくださっているからです。 たとえば子どもの病気で急に休むことになってしまっても、Slackで「家族大事に」スタンプを押してくださるなど、休みやすい雰囲気があります。

時短勤務・リモートワークという働き方を選択できていること、周囲の方の理解が深いことという2点により、仕事と育児の両立が可能となっています。

子育て中の社員との交流

エムスリー社内には子育て中の社員が男女問わず多くいます。 Slackには「妊娠・子育て」チャンネルがあり、部署の壁を越えて、育児のお悩みや遊び場の情報、癒やし動画の共有まで、日々交流があります。 社内に子育て中の仲間が大勢いると思うと心強く、このチャンネルの存在が少なからず励みになっています。

3. 子育てしながらプロダクトマネージャーとして成長できるのか

業務を通じて得た学びを深める場がある

私の所属するプロダクト支援チーム*4では、週1回、プロダクトマネージャーが学びを共有し深め合う定例ミーティングを開催しています。

私の休業前はプロダクト支援チーム所属のプロダクトマネージャーは私含め3名でしたが、復帰後は私を含めてなんと9名に増えていました。 仲間が増えたことで、共有される学びの幅が広がり、良い刺激になっています。

また、新しいプロダクトも複数誕生しており、それらのプロダクトが生み出された経緯を実際のPRD*5や検討プロセスなどを見ながら学ぶ機会があります。

このような環境があるため、VPoPや他のプロダクトマネージャーから学んだことを、自分の仕事に取り入れて試してみて、その結果を共有しフィードバックをもらうと言った学びのサイクルができています。

ちなみに、プロダクトマネージャーの学びに関しては、同じチームの岩田さんが執筆された記事に分かりやすくまとまっているため、ご紹介します。

www.m3tech.blog

www.m3tech.blog

マミートラックは存在しない

このブログを読んでいる女性の方が特に気になるのが、「マミートラック*6」についてかと思います。 一般的に、産後の女性がマミートラックに乗ってしまうという話は、ネットの記事やTwitterなどでよく目にします。 ただ、エムスリーの場合、そのようなものは全くないと感じています。

なぜなら、時短勤務であるとか、子育て中であるといったことと関係なく、チャレンジの機会が得られるからです。

私の場合、復帰当初はアスクドクターズの専任でしたが(これだけでもチャレンジすることは山程あります)、復帰から1ヶ月ほど経ったころ、新たに別のアプリも担当することになりました。 今まで全く経験の無いプロダクトであること、そして2つのプロダクトを掛け持ちで担当することと、2つの側面でチャレンジとなっています。

復帰後の学び:時間は有限

仕事に使える時間は有限なのは当たり前のことですが、以前の私は、日中終わらなかった仕事をプライベートな時間でカバーする働き方をしていました。 しかし現在は、保育園のお迎えというタイムリミットがあるため、プライベートな時間でカバーすることができません。 子どもが寝てから夜中に仕事をするというオプションもありますが、サステナブルではないオプションのため極力使わないようにしています。

限られた時間で成果を出すためにどうするかと考えたときに、以前VPoPの山崎さんから学んだ

  • 仮説検証サイクルを高速化するためのテクニック
  • 作り込みすぎない

という2点がいかに重要かということに気付きました。

それぞれ詳細は、以前執筆したブログを御覧ください。 www.m3tech.blog www.m3tech.blog

時間が限られていると、目標達成のためにいかにスピードを出せるかが非常に重要です。 そのためには、プロダクトマネジメントの基本を押さえつつもステップをショートカットすること、そして作り込みすぎず2割の状態でフィードバックをもらうことで方向性を定め、そこから詳細を詰めていく、という進め方の重要性を実感しています。

以上のことは、ブログを執筆した当時も理解した上でブログにまとめたつもりでしたが、今読み返すと「そういうことだったのか」とより本質が理解できたように思います。

まとめ

仕事と育児の両立で精一杯で大変だと思うことはありますが、とても充実した日々を過ごせています。 それは、周囲の自然な理解があり、自身の裁量で働き方をコントロールできる環境があるからだと思います。

子どもがいることで、仕事に使える時間や勉強に使える時間は限られてしまいますが、制約があるからこそ限られた時間での学びや成果を最大化していくべく、仕事の進め方や頭の使い方を進化させていきたいです。

最後に、産休に入るにあたり快く送り出してくださり、復帰にあたり温かく迎えてくださった上長や同僚のみなさんにはこの場を借りて感謝申し上げます。

We are hiring!!

エムスリーエンジニアリンググループでは、一緒に働く仲間を募集しています! 以下のURLよりカジュアル面談をお待ちしています。

jobs.m3.com

*1:現在リモートワークは制度化されており、月2日の出社日を除きリモートワークが可能です。出社日の有無も新型コロナウイルス感染症の流行状況により柔軟に運用されています。

*2:エムスリーでは、福利厚生としてM3 Patient Support Programというサービスが利用できます。M3 Patient Support Programはエムスリーが企業向けに提供しているサービスです。具体的には、m3.comの医師会員基盤を活かして自力でたどり着けない医療情報を従業員に提供し適切な医療への誘導することで、企業の健康経営をサポートするというものです。このパッケージの中の1つとして女性の健康相談窓口があります。

*3:アスクドクターズとはm3.comの医師会員基盤を活用した日本最大級の医療相談サービスです。

*4:社内の様々なプロダクトを担当するプロダクトマネージャーが所属する横断チームです。VPoPの山崎さんを師匠として皆で学び合っています。

*5:Product Requirements Document / プロダクト要求仕様書を指します。

*6:一般的に、子育て中の女性が、子育てと仕事の両立をしていく中で昇進や昇給などが難しいキャリアコースに乗り、陸上トラックのように周回してしまい抜け出せなくなることを指します。