【デジカルチーム ブログリレー1日目】エムスリーエンジニアリンググループ、デジカルチームの安江です。Scalaとマミさんが好きです。
双子が生まれ、1年間の育休を取りました。育休中に新しいチャレンジについて打診があり、自分でも希望してデジカルチームへ異動。この春に復帰したのですが、想像以上のギャップが待っていました。
この記事では「1年間のブランクからどう復帰したか」にテーマを絞って書きます。これから育休を考えている方、長期の離脱からの復帰に不安を感じている方の参考になれば幸いです。
育休中の技術との距離感
1年間、技術から完全に離れていたかというと、そうでもありません。
育休が長期になると会社PCは返却する必要があり、会社とのつながりは個人メールだけになります。エンジニアとしてのアイデンティティが揺らぐ感覚がありました。
その揺らぎを埋めるように、育児の空いた時間でScalaを触っていました。その中でコンパイラのバグを見つけて Scala 3 に貢献 できたのは、育休中のちょっとした誇りです。自宅のネットワーク整備にハマっていたのもこの時期です。
一方、育休期間中に世の中ではAIコーディングが爆発的に流行していましたが、自分はYouTube眺めてるだけでした。これが復帰後に効いてくるとは、この時はまだ知りません。
復帰したら何もかもが違った
自分で希望した異動とはいえ、実際に復帰してみると「昔話の浦島太郎どころじゃない」というのが正直な感想でした。エムスリーでは各チームが最適な技術を選定しているため、異動すると技術スタックや開発プロセスがガラッと変わります。
| 育休前 | 復帰後 | |
|---|---|---|
| プロダクト | 医師向けメディアサービス | 電子カルテ |
| リポジトリ構成 | 複数リポジトリ | モノレポ |
| ワークフロー | GitHub Flow | Git Flow |
| IaC | Terraform | AWS CDK |
これだけ環境が変わると不安もありましたが、育休中にAIコーディングが急速に進化していたことに救われました。育休前は「Copilotすげー」と叫んでいたのに、復帰したらClaudeがコードを書いている。このAIの進化が、キャッチアップを大きく助けてくれました。
Claudeのおかげで未経験領域を突破した
復帰前の得意領域はScalaでした。育休中もScalaを触っていたくらいで、React + TypeScriptは未経験です。
ところが復帰後、そのReact + TypeScriptのコードベースにすぐ機能追加ができてしまいました。Claudeのおかげです。
実際の時系列を振り返ると、こうなっています。
- 復帰初日〜: flakyテストの修正やログ設定の整理など、足元を固めるタスクから着手
- 復帰3日後: フロントエンドのUI改善タスクに着手。React + TypeScriptのコードに初めて手を入れた
- 復帰3週間後: 電子カルテの医療ドメインに踏み込んだ機能をReact + TypeScriptで実装した
以前なら React って何? TypeScript の型ってどう書くの? という勉強期間が必要だったのに、コーディングの重心が「自分で全部書く」から「AIと一緒に書く」に移ったことで、未経験の言語でも実戦投入までの時間が劇的に短くなりました。
その後もELT/Dataformによるデータパイプライン構築、バッチのメモリ最適化、Safariのポップアップブロック回避など、フロントエンドからインフラまで幅広く手を動かしています。「Scalaしか書かない人」はもういません。
最近は「AIに仕事を奪われる」という話をよく耳にしますが、1年間のブランクを経験した身からすると、むしろ逆でした。AIがブランクを埋めてくれました。育休のようなキャリアの中断がある人にとっても、復帰のハードルは確実に低くなっていると思います。
チームの力
もちろんAIだけで何とかなったわけではありません。
「Claudeと一緒にMR作ってみました」と復帰3日目に投稿した時も、特に驚かれることなく普通にレビューしてもらえました。AIコーディングがチームの中で当たり前になっていたことも、復帰のハードルを下げてくれた要因だと思います。
チームの雰囲気も大きかったです。復帰初日、環境構築でハマった時、Slackで質問したらチームメンバーがすぐに反応してくれて、その日のうちに開発環境が立ち上がりました。チームリーダーがとても優秀でドメイン知識の面でも迷いなく仕事を進められたし、復帰から2ヶ月後にはCIパイプラインの問題を自分が調査してチーム全体に共有・修正する側に回れました。助けてもらう側から、助ける側へ。この速度で立ち上がれたのは、チームの受け入れ体制があってこそでした。
変わるものと変わらないもの
復帰して驚いたことがもう1つ。
育休前に自分が作った「Googleカレンダーからチームメンバーの休暇予定を収集してスプレッドシートに一覧表示するツール」が、自分がいない間もずっと動き続けていました。しかも元のチームだけでなく、他のチームでも使われていました。
1年離れても残るものがある。一方で、AIコーディングのように業界のトレンドは完全に変わっている。変わるものと変わらないものがある、というのが復帰後の率直な感想です。
おわりに
今は毎朝6時に起きて子供たちの朝食を済ませ、車で保育園を回って帰宅する生活をしています。育休は終わりましたが、育児は終わっていません。
1年間の育休で学んだのは、「変わるものと変わらないもの」は技術だけでなく、自分自身にも当てはまるということです。コードの書き方は変わった。使うツールも変わった。でも、子供の寝顔を見て「今日も生きてるな」と思う感覚は、第一子の時から何も変わっていません。
これから育休を考えている方、特に「1年は長すぎるかな」と迷っている方へ。1年取ったからこそ見えた景色がありました。子供の成長を毎日隣で見られる時間は、キャリアの中のたった1年ですが、家族の中では二度と戻ってこない1年です。
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