この記事はエムスリー Advent Calendar 2019の14日目の記事です。
ご無沙汰しております、エムスリーエンジニアリンググループ 兼 QLife チーフアーキテクトの園田 (@ryoryoryohei) です。
今回はフロントエンドライブラリである Vue.js (というか vue-router)の小ネタです。
Nuxt.js を利用しない場合、vue-router で複数レイアウトを扱うには「ネストされたルート」の利用が公式ドキュメントで案内されています。
今回は「ネストされたルート」を利用せず、複数レイアウトの出し分けを高階コンポーネントで実現してみます。
詳しい人ならこの時点で実装含めてすべてイメージできちゃいますね。
高階コンポーネントとは?
高階コンポーネントは、ざっくり言うと、コンポーネントを引数にとって別のコンポーネントを返す関数コンポーネントです。GoF の Decorator パターンなどを実現するためによく利用されるテクニックですね。
よく利用されるパターンとしては、認証やトラッキングなど、コンポーネントの責務とは異なる処理をコンポーネント実装と切り離すために利用します。
本題と実装
SPA を実装していて、ログインページだけはシンプルなレイアウトにしたい、などはよくあると思います。
2 種類くらいなら問題ないですが、複数レイアウトになってくると vue-router 公式の「ネストされたルート」だとルート定義の見通しが悪くなり、コンポーネント側においても router-view
を実装する必要があるため、個人的に好きではありません。
そこで高階コンポーネントを利用してフラットな Route 階層で複数レイアウトを実現します。 見てみた方が早いので、実装です。サンプルでは Vuetify1 を利用しています。
レイアウトコンポーネントの実装
- mainLayout.tsx 2
トップバーとサイドバー付きのメインレイアウトに変換する高階コンポーネント。
import Vue, { VueConstructor } from 'vue' import { VApp, VAppBar, VContent } from 'vuetify/lib' import SideMenu from '@/components/layouts/partials/sidemenu.vue' export function mainLayout(PageComponent: VueConstructor<Vue>) { // (1) return Vue.extend({ inheritAttrs: false, components: { PageComponent, // (2) SideMenu, VApp, VAppBar, VContent, }, render() { return ( <v-app> <v-app-bar app={true} color="primary" dark={true}> Title </v-app-bar> <SideMenu /> <v-content> <PageComponent propsData={this.$attrs} /> // (3) </v-content> </v-app> ) }, }) }
- (1) ラップする対象となるページコンポーネントを引数で受け取る。
- (2) 引数で受け取ったコンポーネントを利用することをVueに伝える。
- (3) vue-router から受け取った props をページコンポーネントに渡す。
続いてログインページ用のシンプルなレイアウトです。
- simpleLayout.tsx
import Vue, { VueConstructor } from 'vue' import { VApp, VContent } from 'vuetify/lib' export function simpleLayout(PageComponent: VueConstructor<Vue>) { return Vue.extend({ inheritAttrs: false, components: { PageComponent, VApp, VContent, }, render() { return ( <v-app> <v-content> <PageComponent propsData={this.$attrs} /> </v-content> </v-app> ) }, }) }
vue-router のルート定義
作成したレイアウト用の高階コンポーネントを vue-router で利用するようにルート定義ファイルを修正します。
- src/router/index.ts
import Vue from 'vue' import VueRouter from 'vue-router' import LoginPage from '@/views/login/index.vue' import TopPage from '@/views/top/index.vue' import { simpleLayout } from '@/components/layouts/simple' import { mainLayout } from '@/components/layouts/main' Vue.use(VueRouter) const routes = [ { path: '/', name: 'top', component: mainLayout(TopPage), // メインのレイアウトを適用 }, { path: '/login', name: 'login', component: simpleLayout(LoginPage), // シンプルなレイアウトを適用 }, ] // ...
エントリーポイントテンプレートの修正
レイアウトを高階コンポーネントで実現するので、エントリーポイントとなるコンポーネントのテンプレートには <router-view />
のみを記載します。
- App.vue
<template> <router-view /> </template>
これで複数レイアウトの出し分けが可能になりました。
まとめ
この方法だとルート定義を見るだけで、どのページがどのレイアウトで表示されるかがわかりやすく、かつページコンポーネントはルートを意識する必要がないので、なかなかいいんじゃないでしょうか?
注意点として、高階コンポーネントは便利ですが、フレームワーク的な要素が強いので、プロダクションコードでは足回りだけ利用するようにしています。 なんでもかんでも高階コンポーネント化すると、処理がブラックボックスになって見通しが悪くなるため、適切な用法・用量で利用しましょう。
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