エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

過去の技術書典で頒布したイカしたナンバーを紹介するぜ!

はじめに

皆さんこんにちは、こんばんは。最近『映画大好きポンポさん』を見て気分の良いVPoEの河合(@vaaaaanquish)です。 Amazonプライムで見られるのでオススメです。

さて、開催も迫ってきた技術書典18。エムスリーはスポンサーとして応援しています。そして、弊社からも有志で8冊目の新刊を頒布予定です。

本記事は、エムスリーテックブックの過去作を振り返りながら、エムスリーと技術書典の昔話をしていくものです。

技術書典とエムスリー

エムスリーがはじめて技術書典に参加したのは技術書典6でした。 最初は小さなブースから始まっていて、ラベルや販売のための売上管理ツールもエンジニアが全て自作していた、という記録が残っています。

はじめての技術書典 - ラベルなども全て自作

この頃から継続して、合同誌のような形で技術書を頒布している企業はもうmixiさんくらい、という企業サークルではなかなかの古参になりそうです。 テックブック2からは、私河合も参戦しています(笑)。

近年では執筆も慣れたものですが、技術書典8では諸般の事情によりオンライン開催となり、前後の回では技術書執筆も準備も含めナレッジが失われて、ドタバタしたのを覚えています。

技術書典参加の歴史 - 最近やっと完売が定番になってきました

テックブック4からは表紙のデザインも変わっています。

エムスリーテックブック表紙並び

この辺りから、執筆者や関係者として、デザイナーやPMも参戦し始めた背景があります。 表紙や宣伝用のコンテンツ、納入作業から会場の設営から売り子まで、クリエイターみんなで一緒にワイワイやるようになりました。

クオリティが上がっていく技術書典関連クリエイティブ

エムスリー社内のワイワイギークカルチャーが技術書典を通して染み出しています。

エムスリーテックブック 1~4

エムスリーテックブック1は、2018年に執筆されています。 昨今の技術進歩が早い背景もあり、テックブック1~4の内容自体が古くなっている部分も多いため、ここでそれらは細かく紹介しません。

ですが、今見てみると、テックブック1の『ITインフラ10-20年史』や『たのしすぎるRuby』、 テックブック3の『検索タスク抽出問題とその解き方』など、古典的でありながら長く愛されるテクノロジーに触れる章もある事が見て伺えます。

最新技術から古典的な技術、デザイン、事業について雑多に書く合同誌執筆カルチャーが続いているの振り返ると不思議な気持ちになります。

過去作気になる方は、是非以下を覗いてみてください。 techbookfest.org

エムスリーテックブック 5

テックブック5では転機が訪れます。 そうです、自作シリーズです。

ここまではテックブログなどでもあるような何らかの物を組み合わせたり、やってみたであったり、OSSやゲームのような形でアウトプットする内容を丁寧に書くというのが定番でした。 ここで『ゼロから作るPython Package Manager入門』という、既存の大きめなツールを再実装する、という章が書かれます。

テックブック5おしながき

この時、私達は不運にも「技術書典の執筆ってフルスクラッチの機会として便利じゃん!」という事に気付いてしまうのです。 それが全ての始まりになるとも知らずに…。

techbookfest.org

ちなみに、ここでは『いろんな言語のパッケージマネージャー比べてみた』というまさかのPackage Managerネタ被り章もありました。 結果的に、かなり偏った面白い1冊になってしまっています(笑)。

エムスリーテックブック 6

続くテックブック6では、『Goでつくって学ぶLSP』『フルスクラッチで理解するOpenID Connect』が生まれます。 フルスクラッチで自作、再実装がシリーズと化したのです。

テックブック6

この頃から、数ヶ月も前から準備して開発しておいてそれをテックブックに書く、というイカれたメンバー*1も登場しました。 技術書典は年2回しかないはずなのですが…。

techbookfest.org

そんな熱気に包まれ、エムスリー執筆部の歩みは前に進みます。

エムスリーテックブック 7

テックブック7では『作って理解する Passkeys』『MVCC を自作して掴む DB の核心』などが続きます。

テックブック7

ついに多版型同時実行制御が実装されるのです。 「執筆が終われば執筆が始まる」と言わんばかりの勢いで準備、実験された1冊になっています。 加えて、セルオートマトンを実装するビジネス職種のメンバーやタイプライターを購入してQWERTY配列を探究する人も出てきて混沌を極め、毎回200ページを超えるレビューが大変すぎるシリーズに成っていきます。

techbookfest.org

ちなみにここまで大きく、技術的にもニッチかつ複合的になると、レビューは途方もなく大変です。 私は、論文査読形式で1回コンビニで200ページ印刷して気合いを入れて赤ペン先生をしています。

紙みたいにページ間での比較や全体把握も簡単で、iPadアプリみたいにコンパクトに扱えて、PC作業みたいにコード実行もできる文書レビューツールを作る、というのを技術書典向けのネタとしてストックしています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

技術書典への準備、執筆にも慣れてきて、深い技術についてテックブックの中で触れられるようになっていくまでの歴史を簡単に紹介しました。

お察しの通り執筆作業は大変なのですが、実際に技術書典の会場に行き、自分の書いた技術書を目の前で手にとってくれる人を見ると、何より感動があるのです。 技術書典のオフライン会場の閉会アナウンスと一緒に皆で片付けをして帰る時の哀愁ある空気感をまた味わいたいなと思ってしまう、そんな魅力があります。 そうやって、また、執筆が始まるのです。

 

週末の技術書典18では、エムスリーテックブック8も頒布予定です。

techbookfest.org

会場には私も向かう予定ですので、是非エムスリー執筆部をチェックしておいてもらえると幸いです。

 

*1:褒め言葉としての慣用句です