こんにちは。エムスリーエンジニアリンググループVPoE兼プロダクトマネージャーの山崎です。
先日発売され、プロダクトマネージャー界隈で大変話題になっている及川卓也さん新著「ソフトウェア・ファースト」の第2章末に、「特定領域で使われるプラットフォーム構築を目指す」好例として、なんとエムスリーの事例を掲載していただきました。
ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略
- 作者: 及川卓也
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/10/10
- メディア: 単行本
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本日は、プロダクトマネージャーカンファレンス2019の開催も目前に迫ってきましたので、このコラム収録時の対談の様子について、対談後記としてご紹介したいと思います。
宣伝:プロダクトマネージャーカンファレンス2019にて登壇します!
2019/11/12(火)〜13(水)に開催されるプロダクトマネージャーカンファレンス2019にて登壇します!
当日は、書籍のコラムで触れた「課題ドリブンで出発し、ソフトウェア・ファーストで解決する」文化や開発プロセス、プロダクトマネージャーの役割について、より詳しく話せたら良いと思っています。
エムスリーのプロダクト及びプロダクトマネジメントに興味のあるエンジニア、プロダクトマネージャーはもちろん、デザイナやQA、ビジネスサイドの人にも参考になればと思います。
エムスリーはシルバースポンサーとしてブースも出しており、私も終日ブースにおりますのでご興味のある方は是非、お声がけください。ご質問やディスカッションもお待ちしております。
対談のきっかけ
ことの発端は、弊社AI・機械学習チームのチームリーダーである西場が企画したMachine Learning Team Building Pitchという勉強会で、パネルディスカッションのモデレーターを及川さんが務めることになり、当日会場でご挨拶させて頂いたことがきっかけでした。
私自身、及川さんとは初対面でしたが、もちろんご活躍を知っていましたので、「もしエムスリーのビジネスモデルなどに少しでも興味があれば、代表取締役である谷村も交えてプロダクトマネジメントに関するディスカッションしませんか?」と誘ってみたところ、是非という話になり、弊社に遊びに来て頂けることになりました。
これをきっかけに及川さんから「今度書籍を作るので、掲載用のお話を伺いたい」と誘っていただいたのが今回のコラム掲載に繋がりました。
対談当日の様子など
対談は溜池山王の赤坂インターシティにあるエムスリーの来客会議室*1にて行われました。
先方は及川さん、アシスタントの方、日経BPの伊藤さんの3名、当方は私とAI・機械学習チームチームリーダーで最近プロダクトマネジメントにも挑戦中の西場2名で行いました。
対談が始まって早々びっくりしたのが、エムスリーの戦略やビジネスモデルについて及川さんがよく研究されていたことでした。
どうしてそんなに詳しいのかと聞いてみると、先日の谷村とのディスカッションが面白かったようで、その後も色々研究された様子でした。
医療業界にあるギャップをITで埋める
最初は確か「エムスリーは、医療業界という参入障壁も高く難しい領域で、どうしてこんなに必要とされる会社、プラットフォームに成長できたのか?その根本にある考え方は何なのか?」というような質問だったと思います。
コラムに書いた通り、私達は「医療業界にあるギャップを見つけて、ITを使って埋め続けてきた」と答えました。これは本当に言葉の通りで、エムスリーが提供している様々なサービスはすべてこの思想に立脚しています。
例えばMR君であれば、医師はインターネットで医薬品情報を欲しがっているのに、製薬企業は(当初)インターネットでのプロモーションにリソースを割いていないというギャップがありました。他にも、製薬企業は治験や臨床研究をスムースに立ち上げて一刻も早く医薬品を上市させて苦しむ患者に届けたいと考えているのに、治験や臨床研究を受託する会社にはインターネットの力を最大に使ってそれを加速させている企業はなかったというギャップがありました。さらに、クラウド電子カルテに対する要求が高まっているのに、真の意味でのクラウド電子カルテを提供している会社がなかったなどのギャップもありました。このように医療業界は、探せばまだまだ大きなギャップがある業界なのです。
課題から出発する
その後、いくつか質問が続き、及川さんから、エムスリーのIRでも説明している7Pに関する質問がありました*2。
7Pはエムスリー独自の強力なプロダクト開発、サービス開発のフレームワークです。プロダクト開発やプロダクトマーケティングに関するフレームワークとして一般的なのは、エドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年に提唱し、友人であったフィリップ・コトラー等が使っている有名な分類マーケティングの4Pでしょう。これは皆さん御存知の通り、Product(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通)の4つのツールを組み合わせます。
この4Pは製品の利用者、購入の意思決定者、支払い者が同一人物である一般的なビジネスではわかりやすいフレームワークなのですが、例えば製薬ビジネスにおいて、利用者は患者、処方する意思決定者は医師、大部分を支払う支払い者は保険制度や保険会社になるようなヘルスケアビジネスの場合には機能しません。
そこで、エムスリーではヘルスケアビジネスの7Pとして、Performance target(改善目標)、Philosophy(理念・思想)、Technology platform(技術)、Place / Process(場所)、Payment system(支払・金の流れ)、People / Player(人・プレイヤー)、Public policy(規則・法律)の7つのツールを組み合わせます。
必ずしも全てを組み合わせるわけではありませんが、7Pを意識することによって、抜けもれなく、圧倒的なスピードで新規プロダクトや新規サービスのビジネスモデルが作れることを実感しています。7Pを活用することで、医療業界のどこにギャップがあって、それは誰がどう困っているのか、どう解決できるのか、業界全体を通じて課題を深堀りすることが出来るのです。
ソフトウェア・ファーストで解決する
その後、及川さんから「その課題をどのようなアプローチで解決するのか?」という質問になりました。
ビジネスサイドの仲間たちと一緒になって課題が特定できたら、いよいよプロダクトマネージャーやエンジニアの出番です。
我々エムスリーのミッションは「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを一円でも減らすこと」。
最新のテクノロジーとテクノロジー業界の知識を最大活用して、10倍ではなく、1000倍、10000倍の効率化を目指します。
この段階では、ミッションに共感して集まってくれたギークかつスマートなエンジニアリンググループのメンバーが本当に頼もしく、心強いです。
まとめ
この記事では、及川卓也さん新著「ソフトウェア・ファースト」の第2章末コラムの対談後記として、当日の対談を振り返りました。
具体的にはコラム掲載のきっかけを振り返り、その後でエムスリーでのプロダクト開発を事例に課題から出発することの重要性と7P、ソフトウェア・ファーストで解決することのインパクトについて紹介しました。
及川さんと会話を進めるうちに、及川さんが質問したり、仰っている内容と、実際にエムスリーで実践しているプロダクト開発のアプローチがかなり近いことがわかったのは驚きでした*3。
このアプローチをさらに磨いて、医療業界における重要な課題に、ソフトウェア・ファーストで取り組み、頼もしい仲間たちと、日本、世界の医療にインパクトを与えていきたいと思います。
We are hiring!
エムスリーでは、「課題ドリブンで出発し、ソフトウェア・ファーストで解決する」プロダクトマネージャーを絶賛募集中です。
私が考えるエムスリーのプロダクトマネージャーとして働く面白さは以下の通りです。
- 医療業界のIT化はまだまだこれからの段階で、業界を変えるようなチャレンジングな仕事に溢れている。
- 新規事業が頻繁に提案されるので、プロダクトマネージャーとして裁量を持ちながら複数のプロダクト開発に関わることができる。
- マッキンゼーなどの有名企業出身のビジネスメンバや高い技術力を持ったエンジニアと協力しつつ、対等に意見を交わしたり、時には相手を説得したりしながら、プロダクトを開発することができる。
エンジニアリングバックグラウンドでプロダクトマネジメントの基礎知識を習得し、会社を代表するようなプロダクトに深く関わっていたような実績のあるプロダクトマネージャーはすぐに活躍出来る可能性が高いと思います。
募集要項は以下求人票(リンク)に記載しておりますので、少し興味を持っていただいた方は是非ご覧ください!
プロダクトマネージャー(エンジニアバックグラウンド) / エムスリー
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