エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

【Tech Talk 動画紹介】個人開発サービスが2021年でユーザー数が10倍に成長した話

こんにちは、BIRチームソフトウェアエンジニアの宮地です。

BIRはビジネスインテリジェンス&リサーチの略で、そこでは医療従事者の会員向けアンケートをベースに、製薬会社へのマーケティング支援を提供する事業を行っています。

2022年始にTech Talk という社内勉強会で個人開発しているWebサービスについて話しました。 youtu.be

私は2018年末から個人開発としてWalicaという割り勘Webサービスを運営しています。

walica.jp

Walicaってどんなサービス?

既述の通り、Walicaは割り勘を支援するためのWebサービスです。 「割り勘なら普通に電卓で計算すればいいじゃん」と思うかもしれませんが、このケースはどうでしょうか?

A,B,Cの3人でキャンプに行くとします。 Aがレンタカーを手配して、9,800円を立て替えました。 Bがキャンプ場を予約して、6,600円を立て替えました。 Cが現地での食材調達時に、3,500円を立て替えました。 キャンプが終わった後は、誰が誰に何円返せば清算できるでしょうか?

入社試験のSPIでよく見るような算数の問題ですが、現実でもこんなことはたくさん起こります。

Walicaはこのような複数人・複数回の複雑な割り勘を計算してくれるサービスです。 ブラウザ上でグループページを作成でき、そこにメンバーと立て替え履歴を登録しておくことで、リアルタイムに最も簡単な清算方法を計算してくれます。

walica-screens
walicaの基本的な画面

2021年の実績

Walicaは複数人でイベントをする時に使用するサービスであるため、新型コロナウィルスの影響を受けやすいです。 2021年も緊急事態宣言が3度発令され、外出自粛を求められたため、新規機能開発というよりはリファクタリングに時間を割いていました。

Netlifyへの移行

その中で一番はじめに手をつけたのは、フロントエンドとバックエンドの分離でした。 Walicaをリリースした当初の構成はFlask + Vue.jsをHerokuにデプロイしており、その状態がいまでも続いていました。 しかしHerokuでSSLを利用しようとすると月額$7ほどの料金がかかってしまい、収益がなかなか立たない個人開発においては地味に高い金額です。 月$7の収益を増やすよりは、この$7をゼロにした方が早いよねという話になり、フロントエンドをHerokuから切り離し、Netlifyにデプロイすることになりました。

フロントエンドの配信方法はVercelやAWS S3など他にもあると思いますが、 無料でSSLを有効化できることは大前提として、シンプルにGitHubに連携するだけでデプロイできることや、 ボタン1つでprerenderingを設定し、WalicaのグループURLをLINEなどで共有した際に、 OGPにグループ名を表示できるようするための設定が簡単だったこともNetlifyを採用した理由の1つだったと思います。

あとから気づいたプロダクトレッドグロース

2021年はほぼマーケティング活動をすることなく、リファクタリングに徹していたのですが、それでもユーザー数は1年を通して10倍になり、2021年12月末時点で5万MAUに成長しました。 これはなぜかというと、Walicaは(日程調整サービスの)調整さんと同じように友達にシェアするというプロセスがユーザー体験の中に組み込まれているからだと思っています。 まずイベント幹事がグループページを作成して、そのURLを「ここに立て替え記録を登録しといてねー」とLINEなどでシェアします。 使い方やサービスメリットが分からない人には幹事が説明してくれるでしょう。

users-trend
2021年の月間ユーザー数推移

後から知ったのですが、このような成長のことをプロダクトレッドグロース(Product-Led GrowthまたはPLG)というらしいです。「マーケティングや営業の活動をプロダクト内に取り込むことで事業を拡大させる事業モデル」のことで、少ない時間やコストで事業を拡大できるそうです。

サービス企画当初からこれを狙っていたわけではないのですが、次に別のサービスを開発するときにもこのフレームワークは使えるといいなと思っています。

2022年やっていきたいこと

ありがたいことに、一旦国内はある程度放置しておいても成長してくれるようになったので、今年は海外展開を本格的にやっていきたいというのが一番の目標です。

YouTube動画の中では、台湾・中国あたりが良さそうと言っていますが、あれから色々友人にインタビューしてみた結果、中国はWeChat Payで同様の機能があるみたいで、少し厳しそうな印象でした。 その一方で、DMM英会話を利用して、5人ほどのアメリカ人の先生に聞いてみたのですが、全員口を揃えて「あると便利だと思う」と言ってくれたので、今年はアメリカいけるんじゃないか、ということでいろいろ準備を進めています。

Walicaでは、MAUが150~200人あたりになったあたりから自立的に成長し始めたので、まずはそこに持っていくために、今のWalicaから分離して、ユーザーフィードバックを元にローカライズしていければと思っています。

Walicaの方もある程度放置とは言いましたが、継続的に改善はしているので、この記事を見て使っていただけた方は是非フィードバックいただけると嬉しいです!

We are hiring!

社外の方も Tech Talk にご参加いただけます。以下ページの「カジュアル面談はこちら」からお申し込みください。

jobs.m3.com