エムスリーテックブログ

エムスリー(m3)のエンジニア・開発メンバーによる技術ブログです

目指すは企業価値最大化!?グループ会社支援チームのご紹介

エンジニアリンググループ、プロダクトマネージャーの岩田(@a___iwata)です。 今回はプロダクトマネジメントではなく、私が兼務しているグループ会社支援チームでの挑戦について記事を書きます。

グループ会社支援って何? どんな面白さがあるの? といった疑問に応えられればと思います。

エムスリーのM&A頻度は月に1件以上!?

エムスリーは非常に多くのM&Aを実施しております。FY2023はQ2時点ですでに7件(国内5件、海外2件)を実施しております。 単純計算だと月に1件のM&Aを実施していることになります。これは日本企業のM&A実施ペースとしてはかなり高いものになります。

https://corporate.m3.com/assets.ctfassets.net/1pwj74siywcy/5QuOuf0bfSCaL70soWlecG/b968aad4a0b1f306002c206e9827dc6f/20230428_FY22Q4_presentation_J.pdf

支援対象のニーズもその解き方も多様

先程、エムスリーのM&A頻度が非常に高いことを述べました。その中にはエンジニアに関する支援をエムスリーに期待している会社も多く存在します。 私が経験したなかでは、以下のようなものがありました。

  • 様々なプロジェクトがなかなかうまくいかず、障害も相次いでいる。自社のエンジニアリング力を強化してほしい
  • 大規模なDX化や新プロダクトローンチを構想しているが、エンジニア組織がない
  • 特にセキュリティを管掌できるコーポレートIT担当が不足している

こうしたニーズに応える方法は多数あるかと思います。究極的な目標はタイトルにあるとおり、企業価値最大化です。 私はプロダクトマネージャー(エンジニア経験あり)なので、「攻めのエンジニア組織を作る」と自分で呼んでいるプロセスを用いて、ニーズへ応える ・企業価値最大化を目指すことが多いです。 このプロセスの初期段階の部分について、以下に記載します。

攻めのエンジニア組織を作る

これは私の独自の定義ですが、「攻めのエンジニア組織」とはエンジニアがプロダクトや事業へ能動的に改善案を提案しこれをスピーディーに形にしていくエンジニア組織、とします。フィーチャーチームではなくプロダクト(志向)チームを目指そう、でも構いません。

1. 対話を重ねる(顔合わせ・交流)

まずはエンジニア組織の内外を問わず、多くの人と対話を重ねます。様々な会議にお邪魔したり、1on1をひたすら行います。
当たり前のことですが、相手からしたら私の素性は全く見えません。かつグループ会社の人とはいっても、ついこの前までは他社の人間です。 難しいことは考えず、まずは相手と仲良くなること、信頼関係を築くことに専念します。ここで十分に関係性を培っておかないと、組織の中で物事をうまく動かせず、目的を達成できないリスクがあがります。 この過程で、その会社及び人々の歴史や苦労、やりたいと思っていることをじっくりヒアリングします。「それはこうした方がいいですね!」とこちらの価値観や方法を押し付けず、まずは受け止めることに専念します。

2. 対話を重ねる(現場課題の理解)

1が十分に進んだと感じたら、次は実際に現場、特にエンジニア組織の現場で何が起こっているのか? を俯瞰します。
過去のドキュメントを読み込むことも多くありますが、1と同様に人々と対話を重ねる必要もあります。ただし目的が少し変わり、交流というよりは課題の理解に重点を置きます。
とはいえまだここでも、ほぼヒアリングがメインです。この現場課題の理解では、山崎がよく薦める以下の書籍の考え方が参考になります。

技術的問題と適応課題の峻別、バルコニーとダンスフロアを行ったり来たり、部屋の中の巨象に目を向ける、といった考え方を用いて現場課題の理解を進めます。

3. 流れを変える1勝を設計する

話がいきなり変わりますが、近年のラグビー日本代表の盛り上がりには目を見張るものがあると感じます。
この盛り上がりがどこから始まったのか? には諸説ありますが、個人的には2015年ラグビーワールドカップでの南アフリカ戦での勝利だと思います。 たった1つの勝利が組織や環境をガラッと変えてしまうことは、ラグビーに限らず多くのスポーツやビジネスでもあるのではないでしょうか。

1と2が完了したら、次はこの「1勝」を作りに行きます。 現状の組織で出せそうな力、その力を最大化できる領域、タイミングをよく吟味し、やると決めたら一気に勝負に出ます。

私はプロダクトマネージャー(一流には程遠いですが)としての経験が多少はあるので、これを活かします。
「これまで10の工数でユーザーへ届けていた価値を、2の工数で実現する」というパターンを私は多用します。ここはかなり奥深い領域なので詳細は割愛しますが、以下のような書籍が参考になるかと思います。

4. 1勝し信頼を勝ち取る

勝つべき試合の設計は完了しました。後は勝つだけです。 といっても、試合=プロジェクトには想定外のトラブルがつきものです。発生したトラブルには個別で対処しつつ、この1勝が今後の流れを大きく変えることをメンバーに伝え続け、鼓舞し続けます。 リーダーとして先陣を切ってトラブルや調整をこなすしかありません。とはいえ、これは2,3ヶ月で終わります(というより、それくらいの期間で終わるように試合を設計します)

5. 得られた勝利の価値を最大化する。自信につなげる

無事にプロジェクトが終わり事前想定通りに価値が届けられていることが確認できたら、メンバーを労ったり、その価値を周囲に喧伝します。 こうした成功体験を積むとメンバーにも自信がつき、次のステップにチャレンジしよう=次のプロジェクトに挑もうという流れが醸成できます。 あとはこの流れをどんどん加速させるべく、次のプロダクトやプロジェクト設計、採用、オンボーディングといった業務をこなしていきます。

そもそもエンジニア組織がない場合は採用がこれに加わったりもしますが、私は概ねこのような順番で薦めることが多いです。

学んだこと:普通の人でも組織を強くすることはできる

私はエンジニアリンググループのあるチームではリーダーを務めていますが、そもそもエムスリーのエンジニアは強いので、「強くする」という類の経験はありませんでした。 他にも何か組織やチームを立ち上げたりリーダーを務める経験があったわけではありません。

したがって最初は全く自信が持てず、暗中模索の日々が続きました。しかし攻めのエンジニア組織を作れたと言っても多分良いであろう成果を残し「岩田さんが来てから変わりましたね!」と言っていただけると、こんな私でも組織を強くするということができるのだなと学びました。支えてくださった皆様には感謝しかありません。

まとめ

  • エムスリーは積極的なM&Aを展開中
  • M&A対象の会社にはエンジニアに関する支援を期待いただくことも多い
  • 「攻めのエンジニア組織を作る」を実践してみたら、普通の人(私)でもある程度の成果を残せた

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